医学会誌44-補遺号[S30]
80/94

29大-4:新規骨代謝調節因子Tankyraseの破骨細胞分化・骨芽細胞分化における役割の解明研究代表者:守田 吉孝、藤田 俊一(組織培養・免疫系分野リウマチ分子病態解析学)【目的】ポリADPリボースポリメラーゼであるTankyraseは標的蛋白をリボシル化することでその分解を誘導する。我々はアダプター蛋白SH3BP2が骨代謝の制御因子であることを報告してきた。近年、SH3BP2がTankyraseの標的蛋白であることが報告された。そのため、今回、Tankyraseの骨代謝への作用、またTankyrase阻害剤の骨量への影響を解析した。【方法】マウス骨髄マクロファージ(BMM)およびマウス初代骨芽細胞(Ob)を、Tankyrase阻害剤(IWR-1、G007-LK)で刺激し、破骨細胞分化および骨芽細胞分化を評価した。また、7週齢野生型マウスにTankyrase阻害剤(G007-LK)を4週間投与し、脛骨のマイクロCT解析および組織解析を行った。【結果】BMMにおいてTankyraseの阻害はSH3BP2発現亢進とSyk・NFATc1の活性化を介して破骨細胞分化を亢進させた。一方、ObではTankyraseの阻害はABL・TAZ・Runx2活性化を誘導し骨芽細胞分化も亢進させた。さらに、マウスへのTankyrase阻害剤投与により、脛骨の海綿骨量は有意に減少し、破骨細胞数の増加を伴っていた。【結論】Tankyrase阻害剤は生体への投与により骨量を減少させた。Tankyraseは新規骨代謝調節因子と考えられた。S76川 崎 医 学 会 誌

元のページ  ../index.html#80

このブックを見る