医学会誌44-補遺号[S30]
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27基-21:胎児心臓モデルを使った胎児心臓スクリーニング法と胎児心臓シュミレーターの開発研究代表者:下屋 浩一郎(産婦人科学1)【背景】胎児心臓超音波トレーニングソフトウェアへ発展させるため、OsiriXを用いて任意断面表示可能な胎児心臓モデルの表示を行った。さらにOsiriXを用いて、モデル作製に使用した超音波画像データとモデルを同時表示した場合、モデル情報が超音波画像上に出現して、胎児心臓の構築の境界領域が明瞭に表示されることがわかった。この方法を用いることにより、実際の3次元超音波データに3次元モデルを内在化できる可能性を示すものと考えられる。【研究1】内在化させる理想胎児心臓モデルの作製 現在、2014/3-2017/12期間で取得したSTICデータ438例から妊娠26週データ37例を使用して、各心臓モデル制作を行い、37例のモデルの平均化モデル作製の作業中である。【研究2】心臓モデルのSTIC画像データへの導入とSTIC画像取得法の開発 PreliminaryなモデルのSTICデータへの導入方法と、これを簡易化するSTICデータの取得方法の確立は胎児心臓診断の簡易、自動化への根幹に関わる重要な技術となる。特にモデルのSTICデータへの位置合わせ方法と、STICデータの取得方法は表裏一体なものであり、これについての基礎的なデータを紹介する。また取得されるSTICデータでは、心軸の差など個別に違いがあるが、これをカバーできるような理想心臓モデルの導入利用法についても検討しているので紹介する。28基-88: 先天性心疾患における画期的なバイオマーカーの探索 ~酸化ストレスの有用性~29基-4: 先天性心疾患や小児不整脈における画期的なバイオマーカーの探索 ~酸化ストレスの有用性~研究代表者:大野 直幹(小児科学)【背景】酸化ストレスの最新知見では、成人における冠動脈疾患など心臓血管循環器分野との強い関連性が多数報告されている。【目的】先天性心疾患において酸化ストレスが病状把握と重症度判定における新しいバイオマーカーになり得るかを検証すること。【対象】当院小児循環器外来を受診した先天性心疾患患児50例。【方法】外来受診時の血液検査でフリーラジカル解析装置FREE Carrio Duo®によりd-ROMsテストとBAPテストを測定、同時に既存のバイオマーカーとして脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、心筋型クレアチニンキナーゼ(CK-MB)、ヒト心臓由来脂肪酸結合タンパク(H-FABP)を測定。また心臓超音波検査で左室拡張末期径、左室収縮末期径、左室駆出分画、左室内径短縮率、右室拡張末期径、その他疾患群における病状、重症度を反映する部位を個別に測定。それらから病状や重症度を判定、酸化ストレスとの関連性を検討する。また経過中の病状や重症度の変化に対する酸化ストレスとBNP、CK-MB、H-FABPの数値変化率を比較検討、感度や特異度を解析する。【結果】平成30年3月時点で28例(のべ検体数107例)のデータを集積。内訳は心房中隔欠損症11例、心室中隔欠損症8例、動脈管開存症3例、肺動脈弁狭窄症3例、心室中隔欠損症+心房中隔欠損症2例、川崎病後巨大冠動脈瘤1例。現在研究予定期間(3年間)の中間地点のため、今後も目標症例数を目指してデータを集積予定である。S69

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