医学会誌44-補遺号[S30]
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29基-35:赤血球膜蛋白異常症における溶血性貧血の程度を規定する因子の検索研究代表者:末盛 晋一郎(検査診断学(病態解析)) 赤血球膜蛋白異常症は、赤血球膜蛋白異常により溶血をきたすことを特徴とする疾患群である。赤血球膜蛋白は赤血球形態および変形能の維持に寄与しており、膜蛋白に異常が生じると膜構造が破綻し、赤血球形態変化をきたす。形態変化をきたした赤血球は変形能が低下するために脾臓に滞留する。その結果、脾臓内のマクロファージに通常の寿命よりも早期に貪食され、赤血球破壊の亢進、即ち溶血を呈する。脾臓での溶血量が骨髄における赤血球造血量を上回った場合には貧血を呈する (溶血性貧血)。これまでの解析の結果、共通の膜蛋白異常を有する赤血球膜蛋白異常症症例間において溶血性貧血の程度に差があることが判明している。この現象は膜蛋白異常の相違では説明がつかず、溶血性貧血の程度を左右する未知の機序が存在すると考えられるが、その機序については未解明である。そこで本研究では溶血性貧血の程度を規定する機序について脾臓でのマクロファージによる赤血球貪食に着目し、マクロファージが赤血球貪食の際に標的分子とすると考えられる細胞表面抗原の赤血球における発現量をflow cytometryを用いて解析した。今回、これまでに得られた解析結果を考察と共に報告する。29基-95: NADPHオキシダーゼ構成膜タンパク質gp91phoxの構造解析研究代表者:栗林 太(生化学) 申請者等は、NADPHオキシダーゼを構成するgp91phoxの構造解析を抗体を用いて行ってきた。この研究は数年前に開始した研究であり、現在も解析を続けている。平成29年度のプロジェクト研究では、主に抗体とgp91phoxとの結合部位の詳細を解析した。 好中球は病原微生物等を貪食すると、細胞休止期には細胞内に存在する蛋白質が、細胞膜に移行して膜蛋白質であるシトクロームb558(p22phoxとgp91phoxのヘテロダイマー)と結合し、食細胞NADPHオキシダーゼは活性化される。この活性化型NADPHオキシダーゼは活性酸素の1種であるスーパーオキシド(活性酸素)を生成し、この活性酸素は強力な殺菌作用を持つ。遺伝的に活性酸素の生成ができないために感染症を繰り返す慢性肉芽腫症(CGD)患者はシトクロームb558タンパク質が欠損している。シトクロームb558は正常では好中球の細胞膜上に発現する。p22phoxは常染色体、gp91phoxはX染色体にコードされるために、CGDの多くはgp91phoxの発現が障害されている。これまで、CGDの診断は申請者等が作成したモノクローナル抗体(7D5)により行って来た。7D5はgp91phoxを細胞胞外から認識する抗体であり、CGDの診断には非常に便利ではあったが、エピトープ(gp91phox上の抗原)は不明のままであった。本研究ではこの7D5の抗原を決定したので報告したい。S61
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