医学会誌44-補遺号[S30]
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29基-99:activin, inhibin遺伝子発現における転写因子Runx3の関与研究代表者:小島 史也(自然科学) Runxファミリー遺伝子は、哺乳類ではRunx1、Runx2、Runx3の3つが同定されている。Runx3において、Runx3欠損マウス(Runx3−/−マウス)は、無排卵のため不妊になることが知られており、子宮内膜においてエストラジオール(E2)依存的な細胞増殖が低下していることから、卵巣のステロイド産生の低下が示唆されている。代表者はこれまでに、Runx3 mRNAのマウス卵巣内の発現局在を世界に先駆けて同定し、またRunx3−/−マウスの無排卵による不妊は、視床下部-下垂体系、そして卵巣のそれぞれで卵巣機能制御が機能不全である可能性を示唆してきた(Ojima et al., 2016、小島、2017)。その中で明らかとなったRunx3−/−マウス卵胞莢膜細胞のCyp11a1 mRNA発現の低下は、関与が知られている卵胞顆粒膜細胞のactivin、inhibin機能低下に起因すると考えられた。さらに予備的研究において、Runx3−/−マウス卵巣における、 activinやinhibinの遺伝子発現が低下していることが明らかになった(論文投稿中)。しかしながらマウスにおけるRunx3のactivin、inhibin遺伝子発現への関与は不明であり、マウスactivin、inhbin遺伝子の転写制御機構に関する知見も少ない。 現在、activin、inhbin遺伝子であるInhba、Inhbbのそれぞれ約3000bp上流域を含むレポーターベクターとそれらの欠失変異レポーターベクターおよびRunx3発現ベクターは作製済である。今後はそれらを用いて各遺伝子のプロモーター解析を進めていくとともに、Runx3発現ベクターとコトランスフェクションした場合のレポーター活性を解析し、activin、inhibin遺伝子発現へのRunx3の関与を明らかにしていく。29基-15: ライディッヒ細胞の分化転換メカニズムの解明研究代表者:嶋 雄一(解剖学) 有胎盤類では、胎仔期のライディッヒ細胞(胎仔ライディッヒ細胞)と思春期以降に出現するライディッヒ細胞(成獣ライディッヒ細胞)では、形態や機能が異なることが報告されている。我々は、核内受容体型の転写因子をコードするAd4BP/SF-1遺伝子の発現制御機構を探索し、胎仔ライディッヒ細胞特異的な制御領域(エンハンサー)を同定した。 本研究では、Ad4BP/SF-1遺伝子の成獣ライディッヒ細胞特異的な制御領域の同定を目的として解析を行った。ゲノム編集技術を用いて、遺伝子周辺の配列が保存された小領域を欠損するマウスを作出し、その表現型を解析した。その結果、第4イントロンに新規の脾臓特異的エンハンサーを同定することに成功したものの、成獣ライディッヒ細胞特異的エンハンサーを同定することはできなかった。 そこで、現在ATAC-sequence(Assay for Transposon-Accessible Chromatin sequence; Buenrostro JD, et al., Nat Methods 10:1213-8, 2013)により胎仔ライディッヒ細胞と成獣ライディッヒ細胞でクロマチン構造の比較を行っている。今後、Ad4BP/SF-1遺伝子周辺で成獣ライディッヒ細胞特異的なオープンクロマチン領域を抽出し、ゲノム編集実験により、当該領域の機能を生体レベルで検証する予定である。S56川 崎 医 学 会 誌
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