医学会誌44-補遺号[S30]
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29若-5: 社会性昆虫クロオオアリにおける概日時計による社会的同調機構の解析研究代表者:守山 禎之(自然科学) 社会性昆虫(真社会性昆虫)では個体間あるいはコロニー間の情報伝達により同調が起こることが報告されているが、このコミュニケーションと生体リズムの同調の詳細なメカニズムは未解明である。本研究では、社会性昆虫クロオオアリ(Camponotus japonicus)を用いて、遺伝子レベルと行動レベル両方からアプローチし、アリ類における社会的同調機構を明らかにすることを目指した。まずは基礎データの収集として活動リズムの計測を行った。明暗サイクル下で活動を計測した後、恒暗条件下に移し自由継続リズムを計測した。解析は、外勤アリ(巣外で採餌行動を行う個体)と内勤アリ(巣内で育児等を行う個体)に分けて行った。外勤内勤どちらの活動リズムも、明暗サイクル下で明期に活動量が上がる昼行性のリズムを示した。恒暗条件に移してもリズムは自由継続し、その周期は外勤内勤どちらにおいても24時間より短かった。外勤アリの自由継続周期は22.3±0.06(mean±SEM)時間、内勤アリの自由継続周期は22.3±0.1(mean±SEM)時間であった。外勤アリと内勤アリの自由継続周期の間に有意差は見られなかった。並行して、時計遺伝子を用いたRNAiを試行しているが、現在までに有意な結果を得られていない。dsRNA導入方法等の条件を検討し試行を続ける。29基-85:細胞のサイズとからだのサイズを制御する分子メカニズムの解明 研究代表者:西松 伸一郎(自然科学) 生物の体のサイズはどのように決まるのか。古くは、Kleiberの法則(1932)として、からだのサイズと代謝速度(呼吸速度)の間に相関関係があることが知られている。家犬のゲノム解析から、大型犬と小型犬の体格の相違は、インスリン様成長因子をコードするIGF1遺伝子座のSNPと関連することが明らかにされた。からだのサイズとエネルギー代謝の間に因果関係が示唆されるが、詳細についてはよくわかっていない。 オオサンショウウオは、世界最大の両生類である。われわれは、オオサンショウウオの表皮細胞が、カエルやヒトの表皮細胞のちょうど2倍の大きさに相当することを発見した。進化の過程で、細胞のサイズが大きくなったことが、オオサンショウウオのからだが巨大化した要因の一つと推察されるが、その実態は不明である。オオサンショウウオの細胞のサイズとからだのサイズを規定する遺伝子の塩基配列を明らかにするために、ごく最近開発されたナノポアシーケンサーを用いて、オオサンショウウオの全ゲノムの解読を開始した。ゲノム解析の進捗状況を報告するとともに、からだのサイズと細胞のサイズを調節するメカニズムについても考察を加えて発表する。― 環境と生体反応 ―S55
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