医学会誌44-補遺号[S30]
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29基-32: 悪性胸膜中皮腫に共発現するPD-1・PD-L1分子の細胞増殖調節機構におけるCOP9シグナロソームの関与を明らかにする研究研究代表者:山根 弘路(総合内科学4)【背景】COP9シグナロソーム(CSN5)は植物の光形態形成の抑制因子として最初に発見され、動物から酵母まで高度に保存されている巨大たんぱく質複合体である。CSN5は転写因子制御やユビキチン化調整を行うことで細胞増殖シグナル伝達に関与する分子の発現制御をしていることが判明しており、PD-L1発現にも関与している可能性が示唆されている。また腫瘍細胞表面のPD-1/PD-L1共発現を介した細胞増殖調節機構の解明は今後、薬剤の適正使用に繋がる可能性があり、今回PD-1/PD-L1共発現している細胞株における抗PD-1抗体存在下でのCSN5発現を検討した。【結果】小細胞肺がん細胞株SBC-3においてPD-1/PD-L1共発現を確認し、抗PD-1抗体存在下で細胞増殖が亢進することを明らかにした。Western blotによるCSN5の発現は、抗PD-1抗体の濃度依存性に低下することが示された。【考察】CSN5は抗PD-1抗体存在下でPD-L1分子のユビキチン化を通じて、PD-L1蛋白発現を負に制御することで、腫瘍増殖を更に促進する働きがあるものと示唆される。CSN5を通じたPD-L1発現調節に関わるメカニズムの詳細な解析により、PD-1/PD-L1共発現を介した細胞増殖調節機構の解明が可能となるものと考え、中皮腫細胞株での検討を進めている。29基-54:悪性胸水における癌免疫微小環境の解析研究代表者:阿部 公亮(呼吸器内科学)【背景】肺癌患者において悪性胸水の合併は、呼吸困難、咳嗽、胸痛等の原因となり、QOLを低下させ予後不良となる。本研究では、肺癌患者における癌性胸水の保存検体を用い胸水中癌細胞とリンパ球における免疫チェックポイント分子発現、およびTregの頻度を解析し、胸水中の免疫抑制機構を明らかにする。【方法】悪性胸水を合併した進行期非小細胞肺癌患者を対象とし、胸水中T細胞(CD3, CD4, CD8)、制御性T細胞(FoxP3+ Treg)その他の免疫担当細胞の割合および免疫チェックポイント分子、およびリガンドをフローサイトメトリー法で解析した。本年度は症例数をさらに追加検討した。【結果】悪性胸水患者48例において、末梢血単核球と胸水中リンパ球を比較したところ、胸水ではCD3+T細胞の割合が高く、CD4/8比が有意に上昇していた。今までの報告と異なりFoxP3+Tregの増加は認めなかったが、CTLA-4+FoxP3+Tregが増加していた。また、T細胞上のPD-1発現が著明に上昇し、一方で増殖マーカーであるKi-67+CD3は有意に低下していた。腫瘍細胞、あるいはMφにおけるPD-L1発現とCD8+T細胞、Tregの関連性を検討したが、明らかな相関関係は認めなかった。【考察】悪性胸水ではCTLA-4+Tregが増加しており、これによりT細胞は免疫抑制状態となっている可能性がある。S53

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