医学会誌44-補遺号[S30]
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29基-22:骨髄異形成症候群におけるDNAメチル化阻害薬の作用機序の解明研究代表者:辻岡 貴之(検査診断学(病態解析))【目的】DNAメチル化阻害薬は骨髄異形成症候群(MDS)の治療薬として注目されているが、作用機序に不明な点が多いためin vitroの系を用いて検討した。【材料と方法】MDS細胞株MDS-L、MDS92と白血病細胞株HL-60、U937、K562をDNAメチル化阻害薬(decitabine;DAC, azacitidine: AZA)で連日処理した。【結果】5つの細胞株の中で、特にMDS-L、MDS92、HL-60で強い増殖抑制がみられ(DAC:IC50はMDS-L: 16.0±0.49nM、MDS92: 74.3 ±12.6nM、HL-60: 145.0 ±6.1nM)、 アポトーシスによる細胞死が確認された。細胞周期の解析では、MDS-LをDACで処理したとき、濃度依存性にG2/M期の細胞が増加した。DNAマイクロアレイと全ゲノムを対象とした網羅的メチル化解析を行いDACの作用機序に関わると予想される13個の遺伝子を抽出し特に、cholesterol 25-hydroxylase(CH25H)に注目した。定量PCRを用いてCH25Hの発現量を確認したところ、5つの細胞株でDAC処理により発現の上昇を認めた。MDS-L、HL-60を用いたCH25Hプロモーター領域のメチル化解析では健常人骨髄CD34陽性細胞と比較して顕著なメチル化を認めた。【考察】現在、MDS・白血病患者検体を用いて上記結果を検証中である。29基-1:乳癌の内分泌療法抵抗性獲得における低酸素環境の役割研究代表者:紅林 淳一(乳腺甲状腺外科学)【目的】乳癌の内分泌療法抵抗性獲得の分子機構の一つとして、癌幹細胞(CSC)の制御異常が関与している。内分泌療法耐性獲得における低酸素環境やCSC制御の破綻の役割を検証するため、エストロゲン(E2)枯渇、抗エストロゲン薬(AE)暴露、低酸素環境下の長期培養による内分泌療法耐性乳癌細胞の樹立と特徴分析を行った。【方法】E2高感受性乳癌細胞株MCF-7を1)低酸素培養下、2)E2枯渇下、3)AE曝露下(4-OH-tamoxifen, fulvestrant[FUL])、4)これらの組み合わせ処理下(合計8条件)で6カ月間培養した。培養開始後2カ月毎に、E2・AE反応性、ERシグナル伝達経路、CSC比率、幹細胞制因子のmRNA発現の経時的な変化をモニターした。内分泌療法耐性乳癌細胞と親株を比較し、マイクロアレイを用い網羅的に遺伝子発現の変化を検討中である。【結果】すべての条件下でE2やAEに対する増殖反応性の低下が経時的に観察された。低酸素環境下ではその変化が顕著であった。CSC比率の変化には一定の傾向は認められなかった。E2枯渇下処理により樹立された内分泌療法耐性乳癌細胞と親株を比較したところ、ER-αの発現亢進とE2非依存的なER-αの活性化がみられた。FUL曝露下で樹立された内分泌療法耐性乳癌細胞と親株を比較したところ、ヘッジホッグシグナル関連因子のmRNA発現の増加が認められた。【考察】異なる条件下で樹立された内分泌療法耐性乳癌細胞は、細胞内の異なるシグナルを活性化することにより異なる分子機構で耐性を獲得していると考えられた。S49
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