医学会誌44-補遺号[S30]
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29基-97:糖尿病性腎症の糸球体上皮細胞障害進展過程におけるATP/P2Y受容体経路の役割研究代表者:城所 研吾(腎臓・高血圧内科学)【背景】糸球体上皮細胞(Podocyte)内への過剰なCa2+流入は細胞骨格のremodelingを誘導し、結果アルブミン尿が出現する。近年TRPC6やTRPC5、またATP感受性イオンチャネル型受容体であるP2Y2受容体もPodocyteのCa2+流入に重要な経路であることが報告されている。高血糖下酸化ストレスの蓄積に伴う血管内皮由来ATPがPodocyte P2Y2受容体を介して、Podocyte内へのCa2+ 流入増大によりPodocyte障害を促進するとの仮説を立てこれを検証する。【方法】内皮細胞(ヒト糸球体内皮細胞(hGEC)、ヒト臍帯静脈内皮細胞(hUVEC))を用いて、高血糖負荷(Control; 5mM, High glucose;30mM)状態下、アポトーシス誘導薬使用下における上清中のATP評価を行った。ATP分泌に関わるPannexin1(Panx1)発現をqPCRにて評価した。Panx1阻害作用を持つProbenecidによるATP分泌阻害作用を検討した。C57BL/6マウスとeNOS-KOマウスを使用し、STZにより糖尿病モデルを作成した。血漿中ATP濃度、尿中アルブミン排泄、組織障害度、血管内皮アポトーシスの評価を行った。【結果】アポトーシス誘導内皮細胞において、上清中ATP濃度の増加を認め、Probenecid添加により抑制された。Panx1 mRNA発現も上昇していた。eNOS-KO/STZマウスの血漿中ATP濃度は他のグループと比較して有意な上昇を認めており、尿中アルブミン排泄量も著明な増加を認めた。血管内皮アポトーシスやPodocyte障害も増悪を認めていた。【結語】内皮細胞からのATP分泌はアポトーシスにより増強され、糖尿病による糸球体障害との関連が示唆された。今後PodocyteのCa2+濃度変化の検討と合わせ、ATPとPodocyte障害の関連について更なる検討を行っていく。29基-74:エンドカンの糖尿病性腎症発症進展に対する効果の検討研究代表者:佐藤 稔(腎臓・高血圧内科学)①<内皮細胞へ作用の検討> エンドカンの内皮細胞に対する直接的影響を検討した。組換えエンドカンを作成後、エンドカン濃度を調節(0, 1, 10 ug/mL)し、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)、ヒト腎糸球体血管内皮細胞(hGEnC)を用い、細胞増殖、細胞死、細胞遊走、血管新生について検討した。エンドカンの糖鎖の影響を調べるため、糖鎖結合部位のセリンをアラニンに置換した糖鎖不全エンドカン(S137A)を作成し、同様に検討した。組換えエンドカンは、HUVEC、hGEnCのいずれの細胞に対しても、細胞増殖、細胞死、細胞遊走、血管新生に影響を与えなかった。糖鎖不全エンドカン(S137A)も同様に、細胞増殖、細胞死、細胞遊走、血管新生に影響を与えなかった。②<発現調節機構の検討> 一酸化窒素(NO)シグナルが、エンドカンの発現に及ぼす影響を検討した。HUVECを用い、NO donor、NOS阻害薬、SGC阻害薬、PKG阻害薬、で24時間刺激を行い、エンドカンの発現変化を検討した。また、転写調節部位を特定するため、エンドカンプロモーター (-4000~+50 bp)下流にルシフェラーゼ遺伝子を挿入し、レポーターアッセイを行った。SGC阻害薬刺激でのみエンドカン mRNA発現が増加した。エンドカン遺伝子発現には-500~-1000 bp領域でpositiveに、-2000~-4000 bp領域でnegativeに発現調整している領域を認めた。ChIPアッセイで、NFkBがpositiveに、Hhexがnegativeにエンドカンの遺伝子発現に働いていることを確認した。S37

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