医学会誌44-補遺号[S30]
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29基-46: シュワン細胞での異型トランスサイレチン凝集の研究:熱ストレス応答の関与について 研究代表者:村上 龍文(神経内科学) 家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)はトランスサイレチン(TTR)遺伝子変異が原因で、感覚優位の末梢神経障害や自律神経障害を特徴とするが、その発症機序は不明である。FAPマウスと熱ショック因子1(Hsf1)ノックアウトマウスを掛け合わせたマウスでは、早期から末梢神経やDRGにTTRが沈着することが発表されている。また老化では細胞の熱ストレス応答の低下が報告されている。そこで我々が確立したFAPマウス由来の不死化シュワン培養細胞TgS1を用いて、Hsf1をsiRNAで低下させ、シュワン細胞でTTR凝集がどうなるかを検討した。 まずTgS1細胞にHsf1 siRNAで導入すると、2日後にHsf1 mRNAは4割ほど低下した。そこで同様にTgS1細胞を処理し、抗TTR抗体を用い蛍光免疫染色を行い、共焦点レーザー顕微鏡で観察した。そうするとTgS1細胞質にTTRが充満し腫大している細胞が見られ、プロテオソーム阻害剤処理でのTTR凝集より著しかった。これらTTR凝集はゴルジ体には局在していなかった。また細胞末端がTTR凝集により腫大したり、房状になっている様子が観察された。細胞突起の中間部にもTTR凝集による腫大が観察された。さらにTTRが充満している細胞片が認められた。 このようにTgS1細胞ではHsf1の低下で、TTR凝集が著しく促進され、熱ストレス応答の発症への関与が示唆された。29基-70: マイオスタチン阻害によるマウス骨粗鬆症モデル・筋委縮モデルに及ぼす影響の検討研究代表者:向井 知之(リウマチ・膠原病学)【目的】マイオスタチンはTGF-βスーパーファミリー蛋白で、骨格筋量を負に調節する。最近、マイオスタチンが破骨細胞分化を促進させることが報告されたが、マイオスタチン阻害が骨粗鬆症病態に及ぼす影響は明らかでない。今回、マイオスタチン機能低下マウスを用いて、マイオスタチン阻害が骨粗鬆症モデルに及ぼす影響を検討した。【方法】マイオスタチン機能低下モデルとして、マイオスタチンプロドメインが過剰となるマイオスタチン変異トランスジェニックマウス(Mstn変異マウス)を用いた。骨粗鬆症モデルとしてRANKL誘導性骨量減少モデル、および尾部懸垂モデルを用いた。【結果】RANKL注射により野生型、Mstn変異マウスで同程度の骨量減少を認め、血清TRAP5b値の上昇も両マウス間で差を認めなかった。尾部懸垂モデルでは野生型マウスで著明な骨量減少(45.2±10.6%減)を認める一方、Mstn変異マウスでは骨量減少が軽減した(13.7±11.2%減)。筋量減少率は野生型、Mstn変異マウスで同程度だった。【結論】マイオスタチン抑制はRANKL誘導性骨粗鬆症モデルにおいて骨量減少への保護的効果を示さなかった。一方、廃用性骨量減少モデルである尾部懸垂モデルにおいては骨量減少を抑制した。マイオスタチン抑制の骨への作用は病的状態の違いに依存している可能性があり、その機序について更なる検討が必要と考える。S29
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