医学会誌44-補遺号[S30]
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29基-110:嗅球顆粒細胞層に存在するPV陽性ニューロンの形態学的解析研究代表者:小野 公嗣(解剖学) 嗅球は、脳で最初に嗅覚情報を処理する領域である。嗅球では、組織学的に明瞭な層構造が見られ、比較的少数のニューロン種から構成される。嗅球はγ-アミノ酪酸(GABA)作動性抑制性ニューロンが、主要な僧帽細胞に比べ圧倒的に数で勝ることから、におい提示は強い局所抑制によって形作られると考えられる。実際、僧帽細胞は嗅球の外網状層で抑制性ニューロンとシナプスを形成し、抑制入力を受ける。外網状層における抑制は、形態学的研究から、カルシウム結合タンパクであるparvalbumin(PV)が発現するか否かで明確に分類できることが報告されている。 我々は、PV特異的抗体を用いた免疫染色を行う過程で、顆粒細胞層にもPV陽性ニューロンが少数ながら存在するという所見を得た。そこで、本研究では、そのほとんどをGABA作動性抑制性ニューロンで構成されている顆粒細胞層に存在するPV陽性ニューロンの形態学的特性に基づいた分類を行うことを目的とし、他のカルシウム結合蛋白質であるカルビンジン、カルレチニンとの共局在を解析した。その結果、顆粒細胞内でPV陽性細胞は、カルビンジンやカルレチニンと局在はほとんど一致しなかった。このことは、PV陽性で特徴付けられるGABA作動性抑制性ニューロンが顆粒細胞層に独立して存在していることを示唆している。29若-4:嗅球におけるドーパミン代謝酵素の局在と遠心性入力の形態学的解析研究代表者:堀江 沙和(解剖学) 嗅球に入力された匂いの情報は、糸球体において僧帽細胞へと伝えられ、さらに高次中枢へと伝えられる。この糸球体の周囲には種々の介在ニューロンが存在し、嗅覚情報処理に関与していることが知られており、その中にはドーパミン系の合成酵素であるtyrosin hydroxyrase(TH)を含む細胞が多数存在する。また、嗅球には脳の他の領域から、ノルアドレナリン(NA)を含む複数の遠心性ニューロンの入力も受けていることがわかっている。これまで、嗅球内の代謝酵素の局在解析により、嗅球内ではドーパミン系のニューロンとNA系のニューロンがそれぞれ独立して存在していることを示してきた。そこで、本研究では、まず嗅球内への遠心性のNAニューロンの投射経路を明らかにするために、DBH-Creマウスを用いて、NAニューロンの起始核である青斑核(LC)にアデノ随伴ウイルスを注入し、NAニューロンを特異的に標識、単一のNAニューロンのトレースを行い、その投射経路を明らかにした。さらに、NAニューロンの形態解析をノルアドレナリントランスポーターの抗体を用いて行ったところ、NAニューロンは嗅球内で多くの特徴的なvaricosity構造を形成していた。そこで、そのvaricosityの頻度や密度の詳細な解析、さらに免疫電子顕微鏡法を用いて微細構造の解析を行いNAニューロンの多様な特徴が明らかとなった。S25
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