医学会誌44-補遺号[S30]
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29基-12:近赤外線蛍光顕微鏡による生体内心外膜側冠微小血管の一過性虚血、反応性充血の評価研究代表者:矢田 豊隆(生化学)【目的】反応性充血反応に内皮依存性過分極(EDH)としての過酸化水素(H2O2)が関与するか否か、EDHの作用する細動脈において拡張反応を認めるか否かについて近赤外線蛍光顕微鏡を用いて明らかにすること。【方法】ビーグル犬(5匹)を対象に麻酔気管挿管開胸後、腹腔鏡を応用開発した近赤外線蛍光顕微鏡を用いた。反応性充血(左冠動脈前下行枝20秒閉塞後解放)時の冠微小血管拡張反応に対して近赤外線蛍光顕微鏡を用いて観察を行った。観察時には、先端にバルーンの付いた胃瘻用バルーンカテーテルを用いる事によって血管を圧迫しないようにクッションの役目をする。Cyclooxygenase拮抗薬(PGI2阻害薬)投与後、1)コントロール群、2)L-NMMA(NO合成阻害薬)投与群、3)catalase(EDH/H2O2分解薬)投与群の3群で比較評価を行い、各群における作用部位の異なる血流調節因子NO(100μm以上の小動脈に作用)とEDH(100μm未満の細動脈に作用)の役割を評価した。【結果】コントロール群において、反応性充血時、小細動脈共に有意な拡張を認めた。その反応は、L-NMMA投与群では、主に小動脈の血管拡張反応の減弱を認め、catalase投与群では、主に細動脈の血管拡張反応の減弱を認めた。【結論】反応性充血反応にEDHとしてのH2O2が関与し、EDHの作用する細動脈において拡張反応を認めた。S16川 崎 医 学 会 誌

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