医学会誌44-補遺号[S30]
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29基-86:単離心筋細胞の力学的特性の計測研究代表者:氏原 嘉洋(生理学1) 心不全症例の約40%を占める拡張機能障害は、増加の一途を辿っており、その対策は喫緊の課題である。拡張機能障害は、心臓が硬く伸びにくくなることで生じるが、その詳細は不明な点が多い。本研究では、拡張機能を細胞レベルで理解するために、単離心筋細胞の力学試験装置の開発を行った。細胞力学試験装置は、2台の三次元電動マイクロマニピュレータ、2本のガラスマイクロニードル、チャンバー、倒立顕微鏡、CMOSカメラ、防振台、PCで構成されている。単離した心筋細胞の把持には、先端を細胞用接着剤でコーティングした2本の硬さの異なるニードルを用いた。硬いニードルは、細胞実験中にたわむことがないため、マニピュレータでその位置を制御することで、細胞に任意の変形を与えることが出来る。本研究では、細胞の長軸方向に対して1µm/sの速度で動かして、細胞を引張った。柔らかいニードルは、バネのようにたわむため、そのたわみ量とバネ定数を掛け合わせることで、細胞に作用する張力を算出可能である。CMOSカメラを介して実験中の顕微鏡観察像をPC上に記録し、張力―変形関係を算出したところ、正常な成体ラットの単離心筋細胞に関しては、10%の細胞の伸展に対して0.1-0.3 µNの張力が作用することがわかった。今後は、病態モデルに加え、拡張能の優れた他生物の細胞の力学的特性を計測し、拡張機能不全を多面的に理解していきたい。29基-24:側枝入口部にJailされたステントストラットの新生内膜被覆に関する検討研究代表者:久米 輝善(循環器内科学)【背景】これまで側枝入口部にJailされたステントストラットのJailパターンと新生内膜被覆に関する詳細な検討はない。【方法】対角枝の分枝を有する左前下行枝29病変(安定狭心症)を対象に、光干渉断層撮影法を用いてステント留置直後と18か月後にステント留置部を観察し、対角枝入口部の新生内膜被覆状態を評価した。【結果】対角枝入口部面積は、経過観察期間において有意に減少した(ステント留置直後1.27±0.61 mm2 vs. 18か月後1.04±0.61mm2, p=0.001)。対角枝入口部にステントストラットのリンクがJailした病変は、Jailしなかった病変と比較し、有意に対角枝入口部の面積減少率が高値であった(26.8±21.9% vs. 9.5±22.1%, p=0.05)。【結論】側枝入口部にステントストラットのリンク部分がJailする事で、新生内膜被覆のため側枝入口部がより狭小化する可能性が示唆された。― セッション2 ―S15
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