医学会誌43-補遺号
92/102

研究課題名:自閉症スペクトラム障害児と家族のための情報提供支援アプリの提案研究代表者:森戸 雅子(川崎医療福祉大学 医療福祉学部保健看護学科)【研究の背景と目的】自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder:以下ASD)児の多く は、地域で家族と暮らし、成長とともに幼稚園、学校、病院等、多くの専門職と関わりを持つ。児の感覚特性は親であっても理解しにくく、家族は他者に情報提供する際に苦慮している。そこで、感覚特性の内容を検討し、ASD児と家族のための情報提供支援アプリを提案することを目的とし た。【方法】大学倫理審査承認(440-2)後にASD家族の面接調査を行い、児の感覚特性の困難や家族の対処の内容を他職種で分析し、情報提供支援アプリを開発した。【結果・考察】iPadで動作する情報提供支援アプリには、初期画面に、①好き・嫌いリスト、②日記、③過去のまとめ、④対処を示した。感覚特性画面は、前庭感覚、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、固有覚、環境等に分類し、項目ごとに児の強みと児の困難・家族の対処の内容を入力できるものとした。感覚特性をASD児の気持ちの表現から好き、嫌い⇒対処、という項目で整理すること で、児の辛さだけでなく、児の強みも家族が代弁できる内容となった。iPadに感覚特性の内容を整理し、印刷できる機能を持たせることで、手書きの煩わしさが軽減するだけでなく、整理された情報と家族の対処項目から、家族の努力も相手に理解しやすい。今後の課題として、画面の見やす さ、操作方法、入力文字数、整理画面、他の情報との統合、将来にわたって活用する方法等、利用者の意見も参考に検討を重ねる必要がある。S88川 崎 医 学 会 誌

元のページ  ../index.html#92

このブックを見る