医学会誌43-補遺号
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研究課題名: 通所サービスを利用している高齢者のうつ状態と身体症状・精神症状及び生活状況との関連研究代表者:塚原 貴子(川崎医療福祉大学 医療福祉学部保健看護学科) 本研究は、在宅要介護・要支援の方でうつ状態にある対象の精神症状、身体症状の実態及びうつ状態に関連する要因を明らかにする。 研究対象者はA県内のデイケア、デイサービスに通所している65歳以上の要介護及び要支援の認定者で、自分の意思を伝えることのできる111人である。調査内容は、基本属性、Geriatric Depression Scale;GDS-15簡易版、老研式活動能力指標の手段的自立、知的能動性、社会的役割の3つの下位尺度、ソーシャルサポートのサイズ得点と交流得点、うつ状態の精神症状、身体症状である。 調査の結果、GDS得点の5~9点の軽度のうつ状態は52人(46.8%)、10点以上の重度のうつ状態は8人(7.2%)であった。GDSと相関があった項目でGDS得点を従属変数とするロジスティック回帰分析(変数増加法)で検討した結果、うつ状態の危険因子として、身体症状の数 (odds ratio;OR=1.272)精神症状の数(OR=2.876)であった。一方うつ状態の改善因子にはソーシャルサポートのサイズ得点(OR=0.891)であった。サイズ得点とは、親しくしている親戚、親しくしている近所の人、近所の人以外で親しくしている知人・友人などの人との交流の数である。交流している人が多いほど、うつ状態になったとしても早期に改善することが推察された。うつ状態にある高齢者の身体症状は「ふらつき」「肩腰の痛み」「動悸」などの心気的愁訴の訴えが多く、精神症状は「考えがまとまらない」「集中力が低下」「イライラ」「頭が悪くなったようだ」などであった。研究課題名:学校健康診断時の保健調査票による胸郭異常のスクリーニングの現状と課題研究代表者:難波 知子(川崎医療福祉大学 医療技術学部健康体育学科)【目的】学校健康診断前に実施する保健調査票における胸郭異常スクリーニングの現状と課題を明らかにする。【方法】平成28年7月、 全国125か所の教育委員会の学校保健担当者を対象に平成28年度の現状についての質問紙調査を実施した(所属大学倫理委員会承認研究)。【結果】有効回答率は56.0%(70件)であった。 「胸郭異常」の項目立ては、「無」が60件(85.7%)、「有」は10件(14.3%)であった。「無」の理由の約半数は「文部科学省監修の『児童生徒等の健康診断マニュアル』の項目に示されていないため」であった。「有」の理由には「健康診断に必須の項目であるという認識」「早期発見に有用」が記されていた。保健調査における「胸郭異常」の項目立ての必要性については、「必要」15件(21.4%)、「あまり必要ではない」36件(51.4%)、「不必要」6件(8.6%)、「無回答」13件(18.6%)であった。【考察】本調査における「胸郭異常」の項目立ての現状と必要性の認識は低く、スクリーニングに対する考えは教育委員会によって相違がみられた。胸郭変形は成長に伴って進行し、専門医の受診は年齢が高くなるほど身体的症状を訴えるケースが多いとされる。早期受診に導くためには学校健診におけるスクリーニングの精度を高める必要性があり、保健調査における「項目立て」が有効な一助となりうると考える。S87
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