医学会誌43-補遺号
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研究課題名:人を引き込む身体的インタラクション・コミュニケーション技術研究代表者:渡辺 富夫(岡山県立大学 情報工学部情報システム工学科) 人は、単に言葉だけでなく、うなずきや身振りなど身体的リズムを共有して互いに引き込むことで円滑にコミュニケーションしている。この身体的引き込みが一体感を生み、人とのかかわりを実感させている。おしゃべりでも講演でもしっかりとうなずいて話を聴いてくれる、自分のリズムに合わせくれるのは、実にうれしいものである。「コミュニケーションはリズムである」と言われるように、身体的引き込みにより互いのリズムが合う心地良さは、コミュニケーションすることのご褒美であり、脳・身体が幸せな気持ちになるように設計されていると考えている。 この人が幸せな気持ちになるのを支援する技術の開発を目指して、うなずきや身振りなどの身体的リズムの引き込みをロボットやCGキャラクタのメディアに導入することで、対話者相互の身体性が共有でき、一体感が実感できる身体的コミュニケーション技術と、メディア場にはたらきかけることで場を盛り上げる身体性メディア場の生成・制御技術を研究開発している。これらの身体的引き込み技術は、高度メディア社会、超高齢社会の生活情報技術である。とくに音声から豊かなコミュニケーション動作を自動生成する技術は、人とかかわるロボット・玩具、メディアコンテンツ、e-Learningやゲームソフト等に導入・実用化されており、教育・福祉・エンタテインメントなど広範囲な応用が容易に可能で、その応用事例も紹介する。研究課題名:第4の選択~新規がん治療法の実現に向けて~研究代表者:白川 真(福山大学 薬学部薬学科) 近年の医療技術の進歩にも関わらず、現在、悪性腫瘍は日本人の死因第一位である。その治療は外科的治療、化学療法(抗癌剤)、放射線治療の3つに大別されるが、どの治療法も一長一短があ り、その完治をQOL(生活の質)を維持したまま目指すことは難しい。 そこで我々は第4の治療法として、ホウ素中性子補足療法(BNCT)に着目した。BNCTとは中性子線の照射および安定同位体10Bの細胞取り込み量に比例する腫瘍細胞選択的癌治療法である。そのメカニズムは10Bに中性子線を照射すると、α壊変により産生されるα線と7Li粒子がDNA2本鎖を切断することでアポトーシスを引き起こし、腫瘍を縮退させる。α線の飛程は約10μm(細胞1個径以下)であるため、10Bを含む細胞のみが強い攻撃を受け、隣接する細胞には影響を与えな い。加えて、中性子線およびホウ素は単体では人体に無害なことから副作用の極めて少ない治療法である。 現在、化合物としてホウ素アミノ酸(BPA)とホウ素クラスター(BSH)を用いた治験が行われている。しかし、どちらも腫瘍選択性が高いとは言えず、腫瘍血液比や正常組織での低分布等の条件を鑑みると、理想的な薬剤とはいえない。我々はBNCTをより効果的な治療とするために、ド ラッグデリバリーシステムを基盤とした薬剤開発を行っている。本発表では新規薬剤として我々の開発したホウ素リポソーム(PBL)について紹介する。S85
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