医学会誌43-補遺号
83/102

28基-77: 子宮頸癌の微小環境解析-癌関連線維芽細胞におけるリンパ節転移遺伝子のスクリーニングと機能解析研究代表者:村田 卓也(産婦人科学1) 癌微小環境に存在する線維芽細胞は癌関連線維芽細胞(Cancer-associated fibrobalst以下CAFと略す)と呼称され、がん細胞と相互作用することでがん細胞の進展を促進することが報告されてい る。我々は子宮頸癌CAFが子宮頸癌培養細胞ME180の増殖を促進するのみならず、ヌードマウスの皮下移植系においてリンパ節転移を高率で起こすことを発見した。この興味深い発見のメカニズムを明らかにするため、子宮頸癌CAFと、転移を起こさないCAF由来の不死化CAFの遺伝子発現を網羅的に比較し、転移能をがん細胞に付与する可能性のある遺伝子を見いだした。この遺伝子をさらに詳細に解析するため、網羅的にmicroRNA解析を行ったので報告する。 方法は、高転移能を有するCAFと転移能を有さない不死化CAFのmicroRNAの網羅的発現解析を行い比較した。RNAはME180と共培養した場合で調製し、細胞の不死化による発現変動を補正するため、CAFと不死化CAFの単独培養の場合のRNAも同様に解析した。 その結果、子宮頸癌CAFにおけるHGF、POSTN、GeneX、GeneYの発現亢進が、変動が認められたmicroRNAの働きと一致することが判明した。これらの遺伝子がCAFにおけるリンパ節転移遺伝子である可能性が示唆された。28挑-10: 新しい画像再構成法(Q.Clear)を用いたFDG-PET/CT検査における投与放射能量、検査時間および画質の最適化研究代表者:犬伏 正幸(放射線医学(核医学))【目的】FDG-PET/CT検査における新しい画像処理法Q.Clear(空間分解能補正(PSF)+time of flight (TOF))を用いた場合の投与放射能量と検査時間の関係から小病変の検出能を評価した。【方法】PET/CT装置はD710(GE)を使用した。ファントムは周囲長85cmのNEMA IEC Bodyファントムを使用した。画像再構成法は、①従来のOSEM法、②PSF有りTOF無し、③PSF無しTOF有り、④PSF有りTOF有りの計4種類とした。基準放射能濃度 (2.65 kBq/mL)において検査時間2分、30分の最大SUVのリカバリー係数(RC)の算出を行った。【結果】検査時間2分および30分ともTOF、PSFを加えることで小病変のRCの低下を抑制することが可能であった。10mm病変の検査時間2分におけるRCは、①~④まで0.35と変化は認められなかったが、13mm、17mm病変では④によって①より34%のRCの上昇が認められた。10mm病変の検査時間30分におけるRCは、④において最も高い0.52が算出された。【結論】空間分解能補正(PSF)とtime of flight (TOF)の両者を用いた画像再構成法により、従来法に比べ、10~20mm病変に対し34%、10mm病変に対し9%のリカバリー係数の向上が認めら れ、小病変の検出能向上に有用であると考えられた。S79

元のページ  ../index.html#83

このブックを見る