医学会誌43-補遺号
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28基-26:新しい術中自己濃厚血小板浮遊液採取方法確立に関する臨床研究研究代表者:種本 和雄(心臓血管外科学)【目的】将来的な血小板製剤の供給不足打開策である術前自己血小板採取法について、人工心肺回路から体外循環開始早期に採取する方法を確立し、少子高齢化に伴う将来的な血液製剤不足に対する有力な対策とする。【対象と方法】川崎医科大学倫理審査委員会の承認を得て、人工心肺を用いた心臓大血管手術を 行った患者24例に対して、人工心肺開始早期に回路からヘモネティクス社製コンポーネントコレクションシステムL/N9000を使用して自己血小板製剤の作成を行い、プロタミン中和終了後に返血し、血小板数および血小板凝集能の変化について検討した。採血は手術開始時(A)、プロタミン中和後(B)、自己血小板返血後(C)の3回行った。【結果】採取した自己血小板製剤は平均230.0ml±28.4で、血小板数としては平均5単位(3-14)の採取がされていた。(A)から(B)で血小板数は平均11.5万/μl減少し、(B)から(C)で平均3.3万/μl増加した。血小板凝集能は(B)から(C)でADP1μM凝集では4.3%±4.2、ADP3μM凝集では8.9%±6.9増加した。またcollagen2.0μg凝集では10.3%±10.3増加した。【結語】心臓大血管手術中人工心肺回路から有効な血小板凝集能を持った自己血小板を採取することができ、それを返血することによって血小板数および血小板凝集能の改善が確認された。人工心肺回路からの自己血小板採取は、これらの手術での出血量減少および血液製剤使用量の削減についての効果が期待できる。28基-51:陰性荷電粒子優位室内環境における耐糖能・酸化ストレスの変化の検討 研究代表者:大槻 剛巳(衛生学) 多孔木炭塗料と壁面に電圧(72V)で壁面を負に帯電し室内環境中の20nm前後の粒子を壁面に収集、相対的に負帯電粒子優位な室内環境を構築、短期(2.5時間)、中期(夜間2週間)および長期(実際の住宅に設置し3ヶ月ごとにONとOFFを繰り返す)の滞在実験によりNK細胞活性が増強した。長期の滞在実験の検体で耐糖能・酸化ストレスの検討を試みた。被験者7名(男5名、女2名。58.9±9.2歳)、 2名の男性は降圧剤内服中、1名の男性は軽度のアルコール性肝障害、尿酸値高値により内服中。総計OFF→ONが16回、ON→OFFは13回(被験者により3/4~2年の滞在)。Luminex法にてヒト耐糖能・抗酸化ストレスキットにてIL-1β、IL-10、IL-6、MCP-1、Leptin、SAA(Serum Amyloid A)、HGF、Insulin、Lipocalin-2、TNF-a、BAFF、Resistin、PAI-1およびIL-8の変化を観察した。実測値と相対比(前値=1.0と規定)で検討、唯一SAAの対数相対値でOFF→ONで有意な減少が認められた。SAAは急性期蛋白としての意義が高く、この変化は解釈し難いが、高感度CRPは動脈硬化性疾患の予兆と捉えられ、SAAの相対的な減弱は、本室内環境の何らかのこういった疾患への予防効果を示唆するかも知れない。― 新分子・新技術 ―S75

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