医学会誌43-補遺号
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28基-31:炎症性骨破壊におけるアンジオテンシンIIの役割の解明研究代表者:守田 吉孝(リウマチ・膠原病学)【目的】アンジオテンシンII (Ang II)は血圧調節因子として作用する以外に、骨代謝も調節することが近年報告された。しかし関節リウマチなどの炎症性骨破壊におけるAng IIの役割は明らかでない。本研究では骨破壊性関節炎を自然発症するヒトTNFトランスジェニック(hTNF-tg)マウスを用いて、炎症性骨破壊におけるAng IIの影響を検討した。【方法】12週齢の野生型及びhTNF-tgマウスに浸透圧ポンプを用いてAng II (1 μg/kg/min)を4週間持続投与した。経時的に関節腫脹(関節炎)を評価し、16週齢での足関節(距骨)の骨びらん性変化をマイクロCTで解析した。アンジオテンシンIIタイプIa受容体(AT1a)欠損マウスとhTNF-tgマウスを交配し二重遺伝子改変マウスを作成し、AT1a欠損が骨破壊に及ぼす影響を解析した。【結果】hTNF-tgマウスにAng IIを持続投与したところ、関節炎の重症度に変化はなかったが、骨びらんはAng II非投与群と比し有意に増悪した。また、AT1a 欠損によりhTNF-tgマウスの骨びらんは悪化した。【結語】Ang IIは関節炎マウスの骨びらんを増悪させた。hTNF-tgマウスの骨破壊がAT1a欠損により悪化していたことから、AngIIはアンジオテンシンIIタイプII受容体(AT2)を介して骨破壊を増強している可能性があると考える。28基-32:In vivo血栓誘導モデルにおけるリウマチマウスの血管合併症解析研究代表者:平野 紘康(リウマチ・膠原病学)【背景・目的】関節リウマチ患者では心血管疾患の罹患率・死亡率が高いことが知られているが、慢性炎症が血栓形成に及ぼす影響は十分に解明されていない。近年、2光子励起顕微鏡を用いた血栓形成マウスモデルとして、ヘマトポロフィリン投与モデルが報告された。同モデルでは、ヘマトポルフィリンを投与し、レーザー照射することで、局所に活性酸素を誘導し、血栓形成を誘発することができる。今回、我々はマウスでの血栓形成動態をリアルタイムに評価するため、生体内血栓形成の可視化を行った。【方法・結果①】血管内を蛍光標識デキストラン、血小板を蛍光標識抗GPIbβ抗体にて標識した。2光子励起顕微鏡(Nikon社A1R MP+)にて、精巣動脈を観察し、レーザー照射後の血栓形成を観察した。結果、レーザー照射により微小血栓の形成・凝集が誘導され、数十秒以内に血管が閉塞した。【方法・結果②】ヒト血管内皮細胞を炎症性サイトカインで刺激し、血小板粘着・凝集・線溶に関与する遺伝子発現を定量PCR法で解析した。結果、サイトカイン刺激により、P-selectin、vWF、Pai-1のmRNA発現が亢進した。【結論】顕微鏡観察下にマウス生体内に血栓を誘導し観察することができた。今後、関節炎マウスについても同様に血栓形成を評価する予定である。細胞実験の結果から、慢性炎症が血栓形成を促進させることが推測される。 S74川 崎 医 学 会 誌
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