医学会誌43-補遺号
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28基-8:石綿曝露下CTLの免疫応答改善におけるIL-15及び共刺激シグナルの役割 研究代表者:武井 直子(衛生学) 石綿曝露は悪性中皮腫を引き起こすが、抗腫瘍免疫機能への影響は不明な点が多い。これまでに申請者らは混合リンパ球培養法を用いたアロ刺激分化誘導時の石綿曝露が、CD8+T細胞の増殖低下を伴いCTL分化抑制を示すことを報告した。近年、IL-15や種々の共刺激シグナルが、樹状細胞を介したCTL分化誘導や分化後CTLの生存・成熟・機能維持に重要であることが知られている。我々は、先行研究においてIL-15添加が石綿曝露CTL分化抑制時のCD8+T細胞のgranzyme B+細胞比率とCD8+T細胞数の回復を示すことを見出した。本研究では、IL-15添加による石綿曝露下granzyme B+細胞比率減少の回復がCD8+T細胞増殖の回復を伴うかどうかを調べた。更に、共刺激シグナルを誘導する為に抗4-1BB抗体を用いて、石綿曝露下におけるCTL免疫応答の改善への影響をgranzyme Bレベルと細胞増殖能に注目して検討した。5 μg/mlの白石綿添加/非添加培地中、予めCFSE標識したヒト末梢血単核球(PBMC)を放射線照射アロPBMCと7日間混合培養した。培養開始2日目の白石綿添加培地中にIL-15または抗4-1BB抗体をそれぞれ終濃度1ng/mlまたは10 μg/mlになるように添加した。培養後回収したPBMC中のCD8+T細胞のgranzyme B産生と増殖有無をflow cytometryで測定した。IL-15添加は石綿曝露によるCD8+T細胞増殖低下を回復した。また、IL-15添加は、CD8+T細胞増殖の有無に関わらずgranzyme B+細胞比率を回復することがわかった。一方で、抗4-1BB抗体を用いた実験では、2例中2例において、CD8+T細胞の細胞増殖とgranzyme B+細胞比率はどちらも回復することはなかった。28基-6: MT-2細胞を用いたアスベスト短期曝露によるストレス応答とアスベスト長期曝露影響の研究研究代表者:松㟢 秀紀(衛生学) 我々はアスベスト曝露が正常細胞のがん化を誘導することに加えて腫瘍免疫を抑制することを提唱しており、制御性T細胞モデルMT-2を用いて免疫担当細胞に対するアスベスト曝露影響の研究に取り組んでいる。MT-2細胞は高濃度のアスベスト曝露によりアポトーシスの誘導を受けるものの、アスベスト曝露者の体内を模した低濃度アスベスト存在下での長期培養によりアポトーシス抵抗性を獲得する。しかしながら、高濃度アスベスト曝露がMT-2細胞のアポトーシスを誘導するメカニズムや長期曝露細胞がアポトーシスを回避する仕組みには不明な点が多く残されている。本研究では、高濃度アスベスト曝露がMT-2のアポトーシスを誘導するメカニズムを明らかにすることを目的として、ミトコンドリア膜電位指示薬を用いてミトコンドリア機能ヘの影響を測定するとともに、ウェスタンブロット法を用いてDNA損傷とERストレスのシグナル伝達分子に対するアスベスト曝露の作用を検討した。その結果、高濃度アスベスト曝露はミトコンドリア膜電位を低下させること、DNA損傷のシグナル伝達分子であるタンパク質リン酸化酵素Chk2とヒストンH2AXのリン酸化を亢進させることが明らかとなり、アスベスト曝露がミトコンドリア機能の阻害とDNA損傷を介してMT-2細胞のアポトーシスを誘導する可能性が示された。S63
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