医学会誌43-補遺号
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28基-25:卵巣癌の組織型が治療や予後に与える影響に関する病理学的検討研究代表者:森谷 卓也(病理学2)【はじめに】卵巣癌のうち20%程度を占める明細胞癌は、早期に発見される傾向がある反面、グレードに関わらず治療抵抗性で、予後は不良である。その病理学的特徴の一つに核分裂像が乏しいことが知られているが、その理由を解明し、効果的な薬物療法への基盤となるデータを構築する目的で、細胞増殖関連因子について免疫組織染色を施し、高悪性度漿液性癌とも比較した。【材料と方法】明細胞癌29例、高悪性度漿液性癌29例を抽出した。いずれも病理組織学的に再検討し、後者はp53陽性像でも確認した。各症例の代表的切片を用いてKi-67、Cdt1、MCM、Gemininに対する免疫組織染色を行った。Hot sotを選択し、1000個以上の細胞核をカウントし陽性率を算定した。【結果】明細胞癌では、高悪性度漿液性癌に比してCdt1陽性率が有意に高く、Geminin陽性率が有意に低かった。Ki-67とMCM7については、差が見られなかった。Cdt1陽性率高値の明細胞癌は、低値ものに比して有意に全生存率が不良であった。【考察】明細胞癌はG1期に、高悪性度漿液性癌はS/G2/M期に関わるマーカーの陽性率が高く、両者の発現パターンには有意差を認めた。これらの細胞周期の特性が、明細胞癌の薬物療法に対する反応の乏しさに関与している可能性がある。一方、G1期をターゲットとする治療戦略の可能性についても検討を要する。28基-94: 腹腔鏡下子宮筋腫核出術における核出筋腫の体外搬出法の確立と標準化研究代表者:塩田 充(婦人科腫瘍学)【目的】腹腔鏡下子宮筋腫核出術(以下LM)後に悪性疾患と判明する頻度は0.03%である。LMでは核出後の筋腫の細切による体外搬出が必要とされる。近年power morcellationの使用が悪性腫瘍を播種させる可能性があることや医原性腹膜播種性平滑筋腫症の原因にもなることが指摘され、その使用に関しては慎重な対応が求められている。そこで現在唯一の対応策と考えられるin bag morcellationの有用性を検討した。【方法】平成28年7月からのLM症例を対象とした。組織回収バッグとしてヴィオールメディカルテクノロジー社のモルセーフ®を使用しin bag power morcellationを行った。morcellationにはカールストルツ社製12mmを使用した。その完遂率と手術成績を検討した。対照としては本研究開始以前のバッグ未使用例を用いた。バッグ使用後、損傷の有無と残存組織の有無を確認した。【結果】完遂率は14/16(86%)であった。バッグ設置時間の中央値は9分53秒であった。バッグ設置時間とpower morcellation時間どちらも手術時間と有意な相関を認めた。子宮筋腫重量はバッグ設置時間とpower morcellation時間どちらにも有意な相関を認めた。バッグの使用により細切に伴う微小組織片を回収できた。バッグ破損を1例に認めた。バッグ未使用例14例との比較では、バッグ使用群において、核出、筋層縫合終了後から手術終了までの時間が有意に長かった。【結論】in bag power morcellationは組織の飛散防止の観点から有用である。今後、LM時の主要な筋腫搬出方法になると考えられるが、完遂率は100%でなかった。S53
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