医学会誌43-補遺号
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28基-19:肺癌における腫瘍浸潤制御性T細胞が関与する癌微小環境の同定研究代表者:黒瀬 浩史(呼吸器内科学) 本研究では、肺癌微小環境の炎症の有無と局所浸潤制御性T細胞(Treg)の関与を明らかにするため、気管支鏡検体を用い、腫瘍局所浸潤リンパ球(TIL)、および抑制性分子PD-1、TIM-3をフローサイトメトリー法で解析し、腫瘍細胞のPD-L1を免疫染色結果との関連性を検討した。気管支鏡検査症例14例において、腫瘍局所ではCD8優位であり、CD8上のPD-1+TIM-3+、PD-1+TIM-3-分画が増加していた。次にPD-L1(SP142)による免疫染色の検討では、PD-L1 5%未満発現は7例(50%)、5%以上発現は7例(50%)であり、50%以上発現は4例(29%)であった。PD-L1 5%未満(低発現群)および5%以上(高発現群)を比較検討したところ、高発現群ではTILが多い傾向にあったが、一方で活性化Tregの割合も高く、CD4+T細胞上にPD-1+TIM-3+が高発現していた。またPD-L1低発現群では、TILは少ない傾向にあったが、一部の症例ではCD8/Treg比が低く、Treg優位な腫瘍環境を示す症例が存在し、それらの症例ではCD4+T細胞上にPD-1+TIM-3+が高発現していた。 肺癌においてPD-L1低発現群はTILが少なく、免疫抗体療法不応性となる可能性が高いが、一部でTreg優位な症例が存在し、Treg除去が有効となる可能性がある。一方PD-L1高発現群はTILが多い傾向にあったが、活性化Tregも誘導されており、抗PD-1抗体にTreg除去を組み合わせることで治療効果を増強させる可能性がある。28基-96:悪性胸水における制御性T細胞の解析研究代表者:阿部 公亮(呼吸器内科学)【背景】肺癌患者において悪性胸水の合併は、呼吸困難、咳嗽、胸痛等の原因となり、QOLを低下させ予後不良となる。本研究では、肺癌患者の悪性胸水における免疫抑制機構を明らかにすることを目的とした。【方法】悪性胸水を合併した進行期非小細胞肺癌患者30例を対象とし、胸水中T細胞(CD3、CD4、CD8)、制御性T細胞(FoxP3+ Treg)、Mφ(CD68+)、腫瘍細胞(EpCAM+)の割合および免疫チェックポイント分子、およびリガンドをフローサイトメトリー法で解析した。【結果】悪性胸水患者30例において、末梢血単核球と胸水中リンパ球を比較したところ、胸水ではCD3+T細胞の割合が高く、CD4/8比が有意に上昇していた。CD4+T細胞分画ではCD45RA-メモリーCD4が有意に増加していたが、今までの報告と異なりFoxP3+Tregの増加は認めず、一方でCTLA-4+FoxP3+Tregが増加していた。CD4、CD8+T細胞において、免疫チェックポイント分子PD-1発現が著明に上昇し、一方で増殖マーカーであるKi-67+CD3は有意に低下していた。腫瘍細胞、あるいはMφにおけるPD-L1発現とCD8+T細胞、Tregの関連性を検討したが、明らかな相関関係は認めなかった。【考察】悪性胸水ではCTLA-4+Tregが増加しており、これによりT細胞は免疫抑制状態となっている可能性がある。S51

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