医学会誌43-補遺号
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28基-69:慢性腎不全状態での腸管バリア機能評価と腸内細菌叢変化の検討研究代表者:佐藤 稔(腎臓・高血圧内科学)【背景】慢性腎臓病患者における腸内細菌叢の変化は、尿毒素物質の元となる腸内腐敗産物産生増加の一因になり得る。腸管には腸内細菌由来のエンドトキシン、食事由来抗原などの管腔内異物を体内に侵入させないバリア機能を有している。腸管バリア機能のうち、上皮細胞間の物質通過を制御する密着結合 (Tight Junction: TJ) は最も重要な因子で、上皮細胞同士を密接につなぎ合わせて低分子物質以外の物質の透過を物理的に阻害する。また、腸管上皮細胞表面膜上を覆うグライコカリックス粘膜層も腸管バリア機能の一端を担っている。『慢性腎不全での腸内細菌叢変化による腸管バリア機能低下が尿毒素物質上昇を来す』との仮説を立て、慢性腎不全モデル動物の腸管粘膜バリア機能変化の検討を行った。【方法】慢性腎不全モデルICGNマウスの、(1) 粘膜グライコカリックス層の検討、(2) 細胞間密着結合蛋白発現の検討、(3) 腸管粘膜透過性試験を行い、正常コントロールICRマウスと比較を 行った。【結果】ICGNマウスではTJタンパクの1つClaudin-1の発現が有意に低下していた。腸管粘膜上のグライコカリックス粘膜層も有意に低下していた。腸管粘膜透過性試験では、ICGNマウスの透過性はICRマウスと比較して有意に増加していた。【結語】慢性腎不全モデルICGNマウスでは、腸管粘膜バリア機能が破綻し透過性が亢進して いる。S46川 崎 医 学 会 誌
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