医学会誌43-補遺号
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28基-78: 2型糖尿病患者におけるエイコサペンタエン酸 / アラキドン酸比と動脈硬化性疾患との関連に関する探索研究代表者:亀井 信二(糖尿病・代謝・内分泌内科学) 血漿中n-3系多価不飽和脂肪酸(PUFA)であるイコサペント酸(eicosapentaenoic acid;EPA)とドコサヘキサエン酸(Docosahexaenoic acid;DHA)は心血管イベント抑制作用を示し、n-6系PUFAであるアラキドン酸(arachidonic acid;AA)は動脈硬化惹起作用に関連する。EPA/AA比の低下は冠動脈疾患の高リスク状態であるが、2型糖尿病(T2DM)では未解明点が多く、n-3系PUFA製剤での動脈硬化抑制作用についても報告は少ない。よってT2DM患者の各種動脈硬化指標とEPA/AA比との関連、EPA,DHA含有製剤での介入結果を検討した。対象は当科外来T2DM患者で年度毎のEPA/AA比の推移と糖尿病管理指標との関連を検討。さらにEPA,DHA含有製剤での介入患者約100症例でも結果を解析した。EPA/AA比は0.4前後で食事療法や栄養指導介入のみでは改善はなかった。また、スタチン薬投与群ではEPA/AA比が低下しており、脂肪酸不飽和化酵素の活性化が示唆された。EPA/AA比0.3未満の約100症例にてEPA,DHA含有製剤での介入を行った。介入前後でEPA/AA比は前0.23±0.02から後0.60±0.06 (p<0.05)と有意なEPA/AA比の増加が確認された。これらについて、現在、論文作製中である。28 挑-1:新規糖尿病治療薬SGLT2阻害薬が糖尿病病態に及ぼす影響 -腎・消化管連関の解明-研究代表者:下田 将司(糖尿病・代謝・内分泌内科学)【背景】選択的Sodium-glucose co-transporter 2(SGLT2)阻害薬は、腎近位尿細管に発現するSGLT2に選択的に作用し尿糖排泄を増加させ、血糖、体重、脂質、血圧、尿酸などに好影響を及ぼし、肥満2型糖尿病患者の治療において期待される薬剤の1つである。本薬による尿糖排泄促進作用は長期間維持されるが、一方でエネルギー恒常性へ及ぼす影響は不明である。実臨床において本薬投与後に食欲亢進を訴える患者もおり、これはエネルギー恒常性維持のための防御機構の存在が示唆される。【目的】(Study 1)本薬を慢性投与した際、グルコース体外排泄調節を担う「腎臓」と体内流入調節を担う「消化管」の間に、エネルギー恒常性維持機構として連関が有るか否かを検討する。 (Study 2)同時にSGLT2阻害薬投与直後の消化管糖輸送の変化も検討する。SGLT2阻害薬のSGLT選択性は濃度依存性であり、選択的SGLT2阻害薬といえど、薬剤濃度が高濃度である消化管ではSGLT1を介した糖輸送に影響する可能性があり、この点についても検討する。【現時点でのまとめ】肥満2型糖尿病モデルマウスをSGLT2阻害薬群とコントロール群に群別し、消化管糖輸送や経口糖負荷試験時の血糖、インスリン、インクレチン推移を比較検討しているが、それらの結果は、エネルギー恒常性維持機構として、腎・消化管連関の存在を示唆している。S42川 崎 医 学 会 誌
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