医学会誌43-補遺号
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28基-18:ヒトが鉄を体内に取込む機構の解明研究代表者:岸 文雄(分子生物学) 二価鉄の排出を行う輸送体FPNは、鉄代謝において要と言える分子である。FPNの発現調節は、鉄のホメオスタシスを厳密に保つ上で最も重要である。FPN異常は遺伝性鉄過剰症の一因でもあ り、世界中で遺伝的・生化学的解析が行われ、非常に多くの遺伝子変異とそれに伴うFPN異常による鉄過剰症の症例が報告されている。二価鉄イオンは、反応性に富み、活性酸素産生の重要な因子である。これまで、FPNにより排出される鉄が如何にして細胞質ゾル内をFPNまで運ばれてきているかは、全く不明であった。そこで、我々がこれまで解析してきた鉄シャペロン分子PCBP2に注目し、鉄の排出機構について解析を行った。FPNのC末端細胞内領域はPCBP2と結合し、この結合はPCBP2に鉄が負荷されるとより強固になることが確認された。また、PCBP2の発現を抑制するとFPNからの鉄の排出が抑制されることから、PCBP2がFPNに細胞質ゾル内の鉄を供給していることが示唆された。本研究による成果により、これまで明らかにしてきた鉄の取込み機構に加え、鉄の排出に関わる鉄シャペロン分子の重要性についても明らかにすることができた。28挑-4:鉄キレートによるマイトファジー誘導機構の解明研究代表者:原 裕一(肝胆膵内科学)【目的】ミトコンドリア品質管理機構としてミトコンドリア特異的オートファジー(mitophagy)が存在する。今回、細胞内鉄欠乏がmitophagyを誘導する分子機構について検討したので報告する。【方法】Huh-7に鉄キレート剤を添加しmitophagy制御分子の解析を行った。【成績】Huh-7に鉄キレート剤を投与するとmitophagyが誘導されROS産生が抑制されたが、オートファジー関連蛋白であるAtg5をノックダウンすると、ROS産生は増強した。DFP、DFX、DFOの順にミトコンドリア内Fe2+量は減少し、mitophagyも誘導された。DFPによるミトコンドリア鉄制御分子の動態について解析を行ったところ、ミトコンドリア内Fe2+減少に伴いミトコンドリアフェリチン(FtMt)の転写因子のひとつであるSP1の発現増強を介してFtMtの発現が増強した。一方、MtFtのノックダウンによりmitophagyは抑制された。MtFtはオートファジーのカーゴレセプターであるNCOA4と結合し、FtMtのミトコンドリア leader sequenceによりMtFt、NCOA4がミトコンドリアで共局在し、さらに隔離膜伸長に必要なLC3IIの局在も一致することを確認した。さらにFtMt、NCOA4の組み換え蛋白を作成して、両者の結合部位を同定するとともに、その特異的な結合を明らかにした。【結論・考察】FtMtがオートファジーのカーゴレセプターと結合し、mitophagyを誘導することが明らかとなった。ミトコンドリア内鉄がミトコンドリアの品質管理を制御する新たな分子機構と考えられた。S37
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