医学会誌43-補遺号
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28基-73: ステロイドホルモンと嗅覚神経回路:ドーパミン系ニューロンへの調節機構に関する形態学的解析研究代表者:清蔭 恵美(解剖学) 末梢器官とは独立して中枢神経系でde novo合成されるステロイドホルモンは神経ステロイドと呼ばれ、神経機能の調整と維持に関わっていると考えられているが、その存在意義と作用機序の詳細は未だ十分明らかになっていない。そこで、嗅球に豊富に存在する神経化学物質のうち神経疾患と関係の深いドーパミンに着目し、ステロイドホルモンがドーパミン合成系に及ぼす影響と、嗅覚調整機能との関連についての解明を目指し、ステロイドホルモンによる嗅覚系神経回路の調節機構を明らかにすることを本研究の目的とした。 C57BL6/Jマウス及びtyrosine hydroxylase-green fluorescent protein(TH-GFP)トランスジェニックマウスを用い、17βエストラジオールペレット(E2;15mg/60days release:IRA)を皮下に埋め込 み、モデル動物を作製した。E2投与モデルマウスの嗅球スライスを用いた免疫染色ではTH免疫反応性が高まっていた。現在、E2がドーパミン合成系の各酵素発現にどのような影響を及ぼすかについて、E2投与マウス群、placebo群および未処置マウス群を対象にReal-Time PCRを用いての解析を進めている。28ス-2: 妊娠中の母体の炎症が神経細胞の発育に及ぼす影響についての解析研究代表者:石田 剛(産婦人科学1)【緒言】早産の原因の8割で母体における子宮内の局所感染が関与していると言われ、早産の児の神経障害の予後は感染症が重要な原因である。しかしそれが早産による未熟性によるのか、感染症によるものかは現在のところ分かっていない。 Michal Aらは、子宮内感染のモデルマウスから、生存児を得られる最小限の量のLPSを投与することでも、胎児脳における神経発育に関わる遺伝子発現に違いが生じたと報告している。今回、このモデルマウスを用いることで、子宮内感染が胎児の神経発育にどのように影響するか検討を試みた。【方法】妊娠15-18日のマウスを麻酔下に開腹手術を行い、子宮と卵膜の間にLPSとコントロールとしてはLPS detoxyfiedを投与した。まずは生理食塩水で1腹あたりに注入可能な量を検討した。その上でLPS及びLPS detoxyfiedを投与してそれぞれの濃度での流産率を調べ、流産をしないLPSの濃度を検討した。【結果】生理食塩水では1腹あたり50μLまで投与しても80%の新生児が出産し、100μLでは50%まで減少した。1腹辺りの投与量の総量を50μLとした。LPS detoxyfiedを投与したところ、 250μg/dam(0.5g/L)の濃度でも78.6%の児の生存を確認した。一方でLPSにおいては250μg/damから始め、5μg/damでも生存児は得られなかった。【考察】薄いLPSでも流産をしてしまう原因として、胎児ごとに均等な量の薬剤を投与できていない可能性、更に薄い量での検討の必要性、胎児の数による投与量の調節の必要性を検討している。S26川 崎 医 学 会 誌
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