医学会誌42-補遺号
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研究課題名:デジタルペン使用時におけるドクターヘリ内部の電磁両立性に関する検討研究代表者:茅野 功(川崎医療福祉大学 医療技術学部臨床工学科) ヘリ(BK117C-2 J A6927)内部の医療機器は、シリンジポンプ、患者モニタ、携帯型心電図、除細動器、呼吸器及び吸引器の6種であり、通信機器は、航空無線、医事無線、距離測定装置、超短波全方向式無線標識及びデジタルペンの4種である。磁界及び電界は、ヘリ患者搬送部中央の底面から1 mの高さでそれぞれ測定した。また、ヘリの状態は1)プロペラ回転、2)医療機器の動作、3)無線通信、それぞれの有無について計4通りを測定した。【結果と考察】 医用電気機器の電磁両立性に対する性能は、IEC61000-4-3では80 MHz~2700 MHzの範囲において、一般医療機器では3 V/mの電界強度による妨害電界に対して動作が保証されなければならない。本実験の結果、ヘリ内部の電磁界環境はワーストケースで尖頭値66.8mV/mを観測した。これは、妨害電界耐性値の約1/45程度と非常に低値であり、各種医療機器や通信に障害を与えるとはきわめて考えにくいと考察する。研究課題名:肢体不自由学生の学修支援のための電子デバイス活用研究代表者:福島 康弘(川崎医療福祉大学 医療福祉学部医療福祉学科) 平成28年4月に施行された障害者差別解消法において、「合理的配慮によって障がい学生が修学の機会を確保し、教育の質を維持することの重要性」が示されている。また、近年、タブレット等の電子デバイスは急速に発展し、障がい学生への学修支援への有効性も示唆されている。本研究は、本学に在籍し肢体不自由の障がいを持つAさん個人への、電子デバイスを用いた学修のための技術支援方法の確立を目的とした。本研究では、タブレット、スタイラス、音声合成ソフトウエア等を用いてAさんに短時間の模擬講義・模擬試験を受けてもらい、その際にAさんが感じた身体的・精神的負荷について測定した。 その結果、Aさんが模擬講義を受ける際のタブレットの有用性が確認された。加えて、タブレットの画面は大きい方が扱いやすいこと、スタイラスの先端は太い方が扱いやすいこと、文字を入力する際、スタイラスでの位置指定とキーボードでの入力の組み合わせが扱いやすいこと等が明らかになった。さらに、模擬講義での検証後、実際の講義でも、タブレットの有用性を定量的に検証することができた。模擬試験では、簡単な文章ならば音声入力が速く正確である一方で、試験での記述問題を想定した複雑な文章では、音声入力よりキーボードでの入力が速く正確であることが明らかになった。今後、Aさんのタブレットに対する技術的な熟練と感じる負荷の変化についても調査を進めて行く予定である。― 吉備地域産学官連携知的財産活用ネットワーク 加入校 ―S88川 崎 医 学 会 誌

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