医学会誌42-補遺号
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27基-108: IT技術を駆使した現場医療者の最小限の作業により電子化される患者情報を、消防・地域の基幹病院・ドクターヘリ基地病院にて共有・可視化が可能な「リアルタイム患者情報伝送システム」の構築と運用における効果の検討研究代表者:井上 貴博(救急医学)【背景】情報の共有化、可視化、情報伝達・記録の簡便化を目的にドクターヘリ患者搬送にデジタルペンを用いた患者情報伝送システムを導入した。現場活動中に記載した患者情報は瞬時にデジタル化されスマートフォンなどの携帯端末を経由し基地病院へ転送、患者情報の共有化・可視化が可能となった。【目的】ドクターヘリを中心とした病院前診療における本システム有用性の検討。【方法】一消防本部と協力し本システムを配備した。現場出動した救急隊からの患者情報をリアルタイムに消防本部、ドクターヘリ基地病院に伝送、また基地病院では把握した患者情報を出動したヘリスタッフへ自動伝送するシステムを構築、実際に運用し検証した。【結果】消防本部では現場活動中の救急隊の動向や患者情報がリアルタイムに把握できた。基地病院では救急隊からの患者情報を視覚的に把握が可能で、出動したヘリスタッフへの情報提供も容易であった。【考察】救急隊患者接触後からの情報を自動的に消防本部へ伝送することでドクターヘリ搬送の適応判断、搬送先病院選定、連絡などが的確に可能となる。また基地病院と情報共有することで救急隊への指示、搬送手段や搬送先の検討、応援要請等、地域のMC体制強化にも役立つ。第一線での現場活動時に手を煩わせず、これまでの活動内容とほぼ同じ要領で情報の電子化、共有が可能となる本システムは、病院前診療において画期的な情報活用ツールとして期待される。27挑-2:特許出願中の管腔洗浄アタッチメントの性能評価研究代表者:谷野 雅昭(麻酔・集中治療医学1)【はじめに】現在、手術用器械の洗浄にはウォッシャーディスインフェクター(WD)が広く使われている。しかし、従来は吸引嘴管などの管状器械はWDを用いて他の鋼製小物と同時に確実に洗浄することができず、洗浄死腔が残ってしまっていた。そこで、洗浄死腔がほぼ皆無となるアタッチメントの開発を始めた。改良を行ったところ、目的を達する試作品ができあがり、現在、特許出願中である。今回、WDによる管状物の洗浄効果を従来の方法等と比較を行った。【方法】直径6mmおよび9mm、長さ300mmのステンレス管の一端に6mm径には55mm、9mm径には60mm程度まで、プロタミンリバースを行ったヘパリン加羊血液を付着させたものを模擬汚染管状物として準備した。これらを特許出願中の試作品、改良前の試作品あるいは直接シリコンチューブに接続し、アルカリ性洗剤によるWDでの洗浄を行った。洗浄後、汚染の除去状態を目視で確認した上で、蛋白定量を試みている。【結果】出願中の試作品は他の2つの方法に比べ目視によっても、より良好に汚染が除去されていた。残存蛋白量についてはBCA法による定量を試みている。【結語】出願中の試作品によって管状器械はWDで良好に効果的な洗浄が可能であると考えられるが、より詳細かつ明確な有効性の証明ができるようにしていく必要がある。S84川 崎 医 学 会 誌

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