医学会誌42-補遺号
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27挑-5:近赤外線蛍光顕微鏡を用いた生体内心内・外膜側冠微小管の非蛍光顕微鏡との比較評価 研究代表者:矢田 豊隆(医用工学)【目的】近赤外線蛍光顕微鏡を導入し、イヌ生体内心内・外膜側微小血管を観察し、血管描出精度向上を目的とする。【方法】麻酔気管挿管後開胸し、ペースメーカーで心拍数固定したビーグル犬(7匹)を対象に、腹腔鏡の先端レンズに対物レンズを導入した近赤外線(励起760nm、発光830nm)蛍光顕微鏡を開発した。蛍光色素は、indocyanin green (ICG)を用いて、左冠動脈前下行枝末梢から、注入ポンプを用いて冠動脈内投与(0.5ml/min)した。【結果】近赤外線により、微小血管は、白色蛍光を示した。顕微鏡精度評価として、空間分解能は、NBS 1963a Targetを用いた150倍の対物レンズで1pixel=2.6μmであった。蛍光像と非蛍光像(1288x1032 pixel,high vision)の血管径解像度比較は、蛍光像の方が心外膜側冠微小血管径(50μm~150μm)は、大きい傾向を示し、両者の間には、良好な正相関を示した。通常使用濃度(ICG 25mg/蒸留水10ml)で蛍光発光の視認可能であった。心内・外膜側微小血管を観察したが、血行動態に影響は無く、冠血管拡張薬(ブラジキニン)投与後、心内・外膜側共に拡張を認めた。実験後心筋を観察したが特に問題無かった。【結論】近赤外線蛍光顕微鏡によるイヌ拍動下生体内心内・外膜側微小血管の観察は、有用であった。27挑-10:PETの標準化に向けた収集時間変動型マルチベッドスキャンの試み 研究代表者:犬伏 正幸(放射線医学(核医学))【目的】18F-FDGを用いたPET/CT検査では、全身検索の時間短縮と関心臓器の画質向上が技術的課題であるが両立は難しい。最新型PET/CT装置では、スキャンスピードを可変する「速度可変型連続移動スキャン」により高画質化を図っているが、従来型PET/CT装置では、ベッド(撮像範囲)を段階的に移動させる「マルチベッドスキャン」を採用している。この方式では、ベッド毎に異なる収集時間を設定するためオーバーラップする撮像領域の定量性が危惧される。本研究では、ヒト体幹部を模したファントムを用い7種の収集時間差を設定しオーバーラップ領域の定性および定量的な評価を行った。【方法】PET性能評価ファントムは、直径の異なる6種類の球体(模擬腫瘍)と 円柱状容器(胴体)で構成され、両者の放射能濃度比を4対1で作成し、オーバーラップの中心断面で評価した。【結果】マルチベット収集法における収集時間差の画像7種類を視覚的に評価した結果、収集時間の低下でザラつき、収集時間の延長で画質改善が認められた。リカバリー係数による評価では、球体直径の縮小にともない低値を示したが、その変化は収集時間差による顕著な差異を認めなかった。変動係数を用いた均一性の評価では、収集時間を延長することでCV値は統計学的に有意に改善が認められ収集時間差の影響が顕著であった。【結語】マルチベッドスキャン法の部分的高画質化は可能であった。S83

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