医学会誌42-補遺号
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27基-58:アスベスト長期曝露によるFoxP3発現低下のメカニズムの解析 研究代表者:松㟢 秀紀(衛生学) 我々はアスベストによる肺がんや悪性中皮腫の発症メカニズムの解明を目的として、腫瘍免疫を抑制する制御性T細胞に着目し、そのモデル細胞株MT-2に対するアスベストの長期曝露の影響を検討している。本細胞を用いた解析によりこれまでにアスベスト長期曝露が転写因子FoxP3のmRNA発現量が低下させること、GATA1のmRNA発現量が増加させることを見いだしている。そこで、本研究では上記の転写因子の発現を調節するプロモーター領域を挿入したルシフェラーゼレポータープラスミドを作成した。これらのレポータープラスミドをMT-2親細胞およびアスベスト長期曝露細胞に導入し、ルシフェラーゼ活性を測定したところ、GATA1レポーターでは内在性GATA1と同様にMT-2親細胞に比べアスベスト長期曝露細胞で高いレポーター活性が検出された。一方、FoxP3レポーターではMT-2親細胞とアスベスト長期曝露細胞のどちらの細胞においてもルシフェラーゼ活性はほとんど検出されなかった。従って、GATA1の発現を調節する上流転写因子の作用がMT-2親細胞とアスベスト長期曝露細胞で異なることが示された。一方、FoxP3の発現調節にはプロモーター領域に加えてエンハンサー領域が必須であることが報告されている。従って、MT-2細胞におけるFoxP3の発現調節においてもエンハンサー領域が重要な役割をになうことが示唆された。27基-68:IL-15を用いた石綿曝露下CTLの免疫応答抑制の解除の検討研究代表者:武井 直子(衛生学) 石綿曝露は悪性中皮腫を引き起こすが、抗腫瘍免疫機能への影響は不明な点が多い。これまでに申請者らは混合リンパ球培養法を用いたアロ刺激分化誘導時の石綿曝露が、CD8+T細胞の増殖低下を伴いCTL分化抑制を示すことを報告した。また、T細胞の増殖に必要なIL-2の添加培養実験を行ったところ、IL-2はCTL分化及び細胞増殖への石綿曝露影響を回復しなかったが、対照群と同程度の細胞傷害性の回復及びgranzyme B+ 細胞比率の部分的な回復を示した。本研究では、CD8+T細胞の増殖や分化誘導を促進するIL-15の添加によって、石綿曝露によるCTL分化抑制が回復するかどうかを調べた。5 μg/mlの白石綿添加/非添加培地中、ヒト末梢血単核球(PBMC)を放射線照射アロPBMCと7日間混合培養した。IL-15は培養開始2日目の白石綿添加培地中に終濃度1 ng/mlを添加した。培養後回収したPBMC中のCD8+T細胞の各種分化指標をflow cytometryで測定した。IL-15添加はCD25,CD45RA,CD45RO発現量が示すCTL分化への石綿曝露影響を回復しなかったが、IL-2添加時とは異なり、石綿曝露によるCD8+T細胞数減少の部分的な回復とgranzyme B+ 細胞比率の増加抑制の回復を示した。IL-2添加とIL-15添加では石綿曝露下CTLの免疫応答抑制の解除に違いがあることがわかった。S79
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