医学会誌42-補遺号
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27基-64:アレルギー性鼻炎における好酸球の新たな関与に対する検討研究代表者:雜賀 太郎(耳鼻咽喉科学)【はじめに】アレルギー性鼻炎の病態解析についてマウスを用いたモデルで様々な検討がなされている。しかし、その病態解析に好酸球欠損マウスを用いた報告は渉猟しえた限り認められない。今回、実験モデルとして一般的である卵白アルブミン(以下OVA)を用いたアレルギー性鼻炎モデルを用いて比較することで検討を行ったので報告する。【対象・方法】マウスは6週齢のC57BL6もしくは同じバックグラウンドの好酸球欠損マウス(以下ΔdblGATA)オスを用いた。day0,7,14にOVAとアラムアジュバントを懸濁したPBSを腹腔投与し、day21から連日7日間OVA(コントロールはPBS)を点鼻投与し、最後の7日目は投与後10分間の鼻かき回数とくしゃみ回数をカウントして症状を評価した。最後のOVA投与後24時間で解剖し、血清OVA特異的IgEをELISAにて測定。頭部は4%パラホルムアルデヒドにて固定し、鼻粘膜所見についてはHE染色・PAS染色で評価した。【結果・考察】まずは野生型のみの解析を行い、アレルギー性鼻炎モデルを作製したところ、PBS処置マウスと比較し、早期相・遅発相ともに明らかなアレルギー性変化の出現を確認できた。遅発相の評価として組織学的検討をHE染色とPAS染色を用いて行ったところ、PBS処置マウスとの比較により、ゴブレット細胞の有意な増加を確認した。27基-2: ダニ抗原誘発マウス慢性気管支喘息モデルの病態形成におけるCD44の役割に関する研究研究代表者:加藤 茂樹(呼吸器内科学)【背景】我々はこれまでダニ抗原誘発マウス急性気管支喘息モデルを用いて、本疾患モデルの病態形成において主要な役割を果たす2型ヘルパーT細胞の気道への集積に接着分子CD44が促進的に作用していることを示してきた。しかし、ヒトの気管支喘息は気道の慢性炎症であり、治療への応用を研究する際には慢性気管支喘息モデルを用いる必要がある。【目的】本研究では、ダニ抗原およびCD44欠損マウスを用いてマウス慢性気管支喘息モデルを作成し、その病態形成における接着分子CD44の関与を調べ、治療への応用について検討する。【方法】C57BL6マウスにダニ抗原を週5日5週間、計25回経気道的に投与し、ダニ抗原誘発マウス慢性気管支喘息モデルを作成する。ヒトの気管支喘息により近い病態を再現するためにこのモデルでは、アジュバントを用いた全身感作は行わず、抗原の経気道投与を繰り返して作成する。このモデルにおいて、気管支喘息病態の評価は(1)気道過敏性試験、(2)気管支肺胞洗浄液中の炎症細胞数の解析、(3)血清中のダニ抗原特異的IgE抗体価の測定により行う。【結果】本疾患モデルでは(1)の亢進(2)の増加(3)の上昇を認めた。【考察】C57BL6マウスを用いて慢性気管支喘息モデルを作成した。現在、CD44欠損マウスを用いて慢性気管支喘息モデルを作成し、野生型マウスと上記評価項目に関して比較検討している。S78川 崎 医 学 会 誌

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