医学会誌42-補遺号
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27基-62:全身性エリテマトーデスモデルマウスにおけるアダプター蛋白SH3BP2の役割の解明研究代表者:作田 建夫(リウマチ・膠原病学)【背景】全身性エリテマトーデス(SLE)は多彩な自己抗体を特徴とする自己免疫疾患である。腎・肺病変への自己抗体の関与は明らかであるが、自己抗体産生・病態進展機序に関しては十分には明らかでない。我々は免疫細胞に発現するアダプター蛋白SH3BP2が自己抗体産生や自己免疫性関節炎発症を規定することを報告した。しかし、他の自己免疫疾患におけるSH3BP2の役割は明らかでない。【目的】SLEの病態形成におけるSH3BP2の役割を解明する。【方法】SLEモデルとしてFas ligandの機能障害変異を持つFaslprマウスを用いる。FaslprマウスとSH3BP2機能獲得型変異マウスとを交配し、二重遺伝子改変マウスを作成する。経時的に尿蛋白を評価し、9ヶ月齢時にリンパ組織、腎臓等の病理組織学的解析を行う。【進捗状況】C57BL/6バックグラウンドのFaslprマウスは病変形成までに約9ヶ月を要する。当科でのFaslprマウスの観察でも、7ヶ月齢以降で皮疹、尿蛋白陽転化、全身のリンパ節/脾臓の著明な腫大を認めた。現在までに、解析対象マウスであるSH3BP2機能獲得型Faslprマウスを4ヶ月齢まで観察し得た。SH3BP2機能獲得変異は病態を悪化させると予想しているが、4ヶ月齢の時点では皮疹・尿蛋白といったSLE病変は出現していない。今後、引き続き観察し、組織学的解析含めて評価していく予定である。27基-36: スギ特異的免疫療法はヒノキ花粉症には有効か?研究代表者:兵 行義(耳鼻咽喉科学)【はじめに】スギ花粉症は根本的治療法としてアレルゲン免疫療法が知られているが、ヒノキ花粉症に対する効果について様々な議論がある。特に岡山県はスギ植林面積よりもヒノキ植林面積の方が多いためこの問題は深刻である。我々は以前からスギ免疫療法におけるヒノキの効果を検討してきたが、今回少量飛散年におけるスギ皮下免疫療法に対するヒノキ花粉症に対する有効性を検討する。【対象と方法】川崎医科大学耳鼻咽喉科アレルギー外来で施行したスギ皮下免疫療法患者22名を対象とした。2015年3月、4月に外来を指定した期間に2回受診し、日本アレルギー鼻炎標準結膜炎疾患調査表(JRCQLQ)に記載し、症状、使用薬剤などを調査した。また来院日に採血検査を施行し、血清でアラスタット3g Allergyを用いて、スギ・ヒノキアレルゲン特異的IgG、IgG4、IgE抗体を測定した。【結果】2015年の花粉飛散は1697個/㎝2であり、平年半分ほどであり、少量飛散年であった。症状スコアやQOL、総括評価もヒノキ飛散期はスギ飛散期よりも増悪はなかった。服薬状況に関してもヒノキ飛散期に増量をしているものはなかった。しかし免疫療法期間1年群ではヒノキ時期によりFace Scaleの増悪が認められた。S77

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