医学会誌42-補遺号
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27基-99:関節リウマチモデルgp130F759の最初期病変におけるBST-1/SCRG1 axisの役割研究代表者:石原 克彦(免疫学) ADPリボシルシクラーゼ活性を有するGPIアンカー型細胞膜外酵素Bone marrow stromal cell antigen-1(BST-1)/CD157は関節リウマチ(RA)由来骨髄間質細胞に高発現し、B細胞のアポトーシスを抑制する。BST-1は信号伝達の受容体機能をも持ち、Scrapie responsive gene-1(SCRG1)は間葉系幹細胞に分化抑制の信号を伝達するBST-1リガンドである。今回、IL-6/STAT3信号依存性のRAモデルgp130F759の最初期滑膜病変におけるBst1とSCRG1の発現細胞を解析した。 4~6.5ヶ月齢の野生型およびgp130F759の膝滑膜より細胞浮遊液を調製し、ラット抗CD45モノクローナル抗体とBD IMagシステムにより造血系(CD45+)と非造血系(CD45-)滑膜細胞に分画し、リアルタイムPCR法によりBst1とSCRG1の遺伝子発現を定量した。SCRG1はCD45+画分のみで検出され、gp130F759では3例中3例,野生型では3例中1例のみで発現を認めた。一方、Bst1は野生型とgp130F759の両者において、CD45+画分で発現される例とCD45-画分で発現される例が認められた。Bst1発現細胞は、月齢あるいは発症早期過程で変化する可能性が示唆された。 27基-94: マイコプラズマ感染によって誘発されるリウマチ様関節炎の詳細解析と血清中誘発成分の検討研究代表者:矢作 綾野(免疫学) Mycoplasma fermentans(Mf)は関節リウマチ(RA)患者の関節液、関節滑膜組織、末梢血液中に検出され、RA発症との関連が示唆される微生物の一つである。我々はIL-6ファミリーサイトカインの受容体gp130の点変異によりRA様自己免疫性関節炎を自然発症するノックインマウスgp130F759にMfを感染させると非感染群に比べ関節炎発症が早期化し、滑膜組織において感染1ヶ月後には免疫系細胞が増加すること、さらに、早期の変化として感染10日後に好中球、B細胞の増加が認められることを報告してきた。 今回Mf感染gp130F759における自然免疫および獲得免疫の関与を検討した。Mf感染10日後に増加した好中球を除去するため抗Gr-1 mAbを投与した所、抗体投与群では非処理群に比べ感染1ヶ月後の関節炎発症が抑制され、免疫系細胞の増加も認められなかった。一方、T細胞欠損gp130F759 (Balb/c-nu/nu.gp130F759)はSPF飼育室にて作出したものの、3ヶ月齢で生育不良を示した為、感染実験に用いることはできなかった。以上のことから、Mfの全身性感染は少なくとも、gp130F759の関節滑膜における好中球増加を介して関節炎発症を促進する事が明らかとなった。Mf感染に対する獲得免疫の関与についてはリンパ球除去抗体投与による関節炎誘発能の検討が必要と考えられる。S76川 崎 医 学 会 誌
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