医学会誌42-補遺号
76/102

27基-44:QFT-IT (QuantiFERON TB Gold In-tube)を用いた結核感染の活動性の評価研究代表者:小橋 吉博(呼吸器内科学)【目的】私共は、活動性結核の症例にQFT上清を用いて各種バイオマーカーを測定した結果、IFN-γやIFN-γ関連ケモカインが感度、特異度に優れており、IL-2が感度、特異度ともに最も不良な結果がえられていた。今回は、IL-2を中心としてQFT上清中に含まれるIFN-γやTNF-αなどを測定し、活動性結核と陳旧性結核、潜在性結核との鑑別診断に有用か検討した。【対象と方法】対象は、活動性結核33例、過去に治療歴を有する陳旧性結核23例、結核患者との接触歴のあった潜在性結核7例とした。これらの症例に対して、IFN-γ、IL-2、TNF-αを測定した。また、活動性結核7例に対しては、治療前後で測定し、比較検討した。【結果】IFN-γは活動性結核が最も高値をとっており、TNF-αも活動性結核が有意差はないものの最も高値を呈していた。しかし、IL-2は活動性結核に比して、陳旧性結核および潜在性結核は有意差がなかったものの高値をとっており、潜在性結核が最も高値を示していた。同一症例の経時的変化では、治療前に比して治療後にIFN-γが1/3以下に低下していたのに対して、TNF-α、IL-2はほぼ同様な数値を呈していた。【考察】IFN-γは、活動性結核の治癒とともに漸次低下してくるのに対して、IL-2は有意差まではなかったものの潜在性結核の症例で高値を呈する可能性、また治療に関わらずしばらくは上昇した状態を維持することから、活動性結核と治癒後結核、潜在性結核との鑑別診断に有用となる可能性が示唆された。27基-28:非定型抗酸菌症患者で免疫栄養療法によるT細胞機能の賦活化研究代表者:毛利 圭二(呼吸器内科学)【背景】非結核性抗酸菌症(NTM症)の予後因子として慢性炎症に伴う低栄養状態と貧血が重要である。NTM患者10名に対しn-3 系多価不飽和脂肪酸を多く含有する濃厚流動食「プロシュア®」を摂取しその免疫学的動態変化を検討した。【対象と方法】本研究では、n-3系多価不飽和脂肪酸を多く含有する濃厚流動食「プロシュア®」を摂取し、NTM患者の栄養状態の改善と抗炎症効果の有効性を検討した。川崎医科大学附属病院に通院し本研究への同意が得られたNTM症患者10名を対象にプロシュア(240 ml/1パック)を1日2パック連日摂取し,介入前,1ヶ月後,2ヶ月後,3ヶ月後に栄養状態を評価した。【結果と考察】本試験に参加10名のうち3名が離脱し7名が完遂した。本試験を完遂した7名は,摂取エネルギー量,摂取炭水化物量,摂取たんぱく質量,摂取脂質量が増加した。介入後3ヶ月後の血中EPAとDHA、体重,BMIが増加し,血中プレアルブミン,トランスフェリンが改善傾向を示した。胸部X線では陰影が改善された症例では、経過中に末梢血中のMCP-1低下を認め、免疫栄養療法に伴う抗炎症効果が示唆された。S72川 崎 医 学 会 誌

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 76

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です