医学会誌42-補遺号
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27基-13:Candida albicansに対する黄ニラの抗菌作用に関する検討研究代表者:山田 作夫(微生物学) 岡山県特産品である黄ニラのC. albicansに対する抗菌効果について、細菌学的・超微形態的に解明を試み、加えて、口腔カンジダ症の要因となるC. albicansによるバイオフィルム形成に及ぼす黄ニラの影響について検討した。まず、黄ニラでC. albicansを処理し経時的に残存生菌数を測定したところ、24時間以上で高濃度(0.5g/ml)処理すると約1/104まで残存生菌数が減少することが認められた。次に、黄ニラで処理したC. albicans菌体を対象に常法に従って走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した結果、24時間処理菌では菌体表面に異常を呈している像が観察でき、黄ニラはC. albicansの表層を構築する細胞壁へ障害を惹起することが示唆された。さらに、C. albicansによるバイオフィルム形成への黄ニラの影響について、Christensenらの方法に準じ比色定量するとともにSEMにて観察して追求したところ、黄ニラで6時間処理すると約20%のバイオフィルム形成抑制効果のあることが示され、同様に処理したC. albicansは未処理菌に比べ粘液物質の産生が弱いことがSEMにて観察され、黄ニラはC. albicansのバイオフィルム形成を抑制する効果のあることが示唆された。そのため、黄ニラによるC. albicansバイオフィルム抑制効果は黄ニラの細胞壁への障害作用にもとづくものと考えられた。27基-51:偏性細胞内寄生性細菌は如何にして宿主細胞内で生育するか。研究代表者:簗取 いずみ(分子生物学) 偏性細胞内寄生性細菌である肺炎クラミジアは、Ⅲ型分泌装置により、宿主細胞にエフェクター分子を注入することで、宿主細胞から栄養を獲得し、さらに、宿主の生体防御機構から逃れて、感染・増殖する。そこで、本研究では、細胞内輸送機構に異常を起こすエフェクター分子の同定を目的として研究を行った。 宿主細胞における細胞内輸送機構の異常を引き起こす肺炎クラミジア分子を酵母発現系スクリーニングシステムにより網羅的に探索した。その結果10個の分子を見出した。その中の1つCPj0783は、肺炎クラミジア患者血清を一次抗体として用いたウェスタンブロットにて検出することが可能であることから、感染中にこの分子が肺炎クラミジアにより産生されていることが証明された。そこで、CPj0783に結合する分子の同定を酵母two-hybrid法により行い、CPj0783はHuntingtin interacting protein 14 (HIP14)と結合を見出した。HIP14は、ゴルジに存在して膜の脂質をパルミトイル化することで、小胞輸送に関与する。さらに、in vitro GST pull-down法および、in vivo 共免疫沈降法を用いた実験においても互いの結合が証明できた。CPj0783は感染中期にのみ特異的に発現しており、菌体の増殖期間にCPj0783がHIP14に作用することで、膜輸送に影響をおよぼすことが予測される。S70川 崎 医 学 会 誌

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