医学会誌42-補遺号
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27基-95:がん化学療法による発熱性好中球減少時に生じる合併症の重症化予測モデル 研究代表者:本多 宣裕(総合内科学4) 化学療法による発熱性好中球減少症(FN)の重症化を予測するMultinational Association of Supportive Care in Cancer(MASCC)スコアでは、20点以下が高リスク群とされている。しかしながら、MASCCは本来FN高リスクのレジメンで使用されるように設定されている。最近、PS≧ 2あるいはストレス性高血糖を2点、COPD、心血管病変、粘膜炎≧ grade 2あるいは単核球<200/μLを1点とし、それらの合計で0点、1~2点、3点以上をそれぞれ、低リスク、中リスク、高リスクとするClinical Index of Stable Febrile Neutropenia(CISNE)スコアのFN低リスクのレジメンにおける有用性が報告された(J Clin Oncol 33, 2015)。今回、当院でのCISNEスコアの妥当性を検証した。当科で2011年4月から2015年3月の間に入院で化学療法を施行し、FNを発症した患者群のMASCCとCISNE スコア因子を抽出し重症化リスクを検討した。対象は男性48例、女性24例で、肺癌38例、悪性リンパ腫16例、消化器癌5例、肉腫5例、卵巣癌4例、その他4例であった。FN時の重症化は13例に認められた。MASCCスコアを用いた高リスク群は72例中28例(38.9%)で、感度と特異度はそれぞれ69.0%と69.0%であった。CISNEスコアによる低リスク、中リスク、高リスクはそれぞれ6例(8.3%)、50例(69.4%)、16例(22.2%)であり、高リスク群のFN重症化に対する感度と特異度はそれぞれ40.0%と82.0%であった。CISNEスコアはMASCCスコアと比べて、FN重症化予測の感度は低く特異度は高かった。本邦におけるFNの重症化を予測する因子を明らかにしていく必要があると考えられた。27基-93:消化管術後のQOLとHigh Resolution Manometryを用いた食道機能評価研究代表者:遠迫 孝昭(消化器外科学)【はじめに】当科では、早期がん症例に対して、LESと迷走神経肝枝・腹腔枝を温存し、胃全摘あるいは噴門局所切除術を行う機能温存手術を行ってきた。この術式は、LES機能温存により逆流を防ぐことでQOLの改善を図ることを目的としている。High Resolution Manometry(HRM) は、LES機能を含めて食道のmotilityを一度に評価できる優れた機能評価法である。我々は、HRMを用いてLES・神経温存術式のLESを含む食道機能評価を試みた。【対象・方法】LES・神経温存を行った胃全摘例10例、LES・神経温存噴門部分切除術10例、HRMを測定した。また、神経温存のできていない胃全摘例6例も同様に測定した。【結果】従来の胃全摘6例のLES圧の中央値は1.0±2.mmHgであったのに対して、LES・神経温存胃全摘10例のLES圧の中央値は14.3±11.3mmHg(p<0.05)、LES・神経温存噴門部分切除術10例のLES圧の中央値は7.5±5.8mmHg(p=0.14)であった。 integrated relaxation pressure (IRP),Distal contractile integral (DCI),Contractile front velocity (CFV)などのパラメーターはすべての群で正常であったが、従来の胃全摘例6例のうち2例(33%)はweak contractionであった。LES・神経温存噴門部分切除の10例のうち、1例(10%)はWeak contractionで1例(10%)はFailed contractionであった。【まとめ】HRMを用いることで術後の食道機能を評価でき、術後の経口摂取の評価につながる可能性があると考えられた。また、LES温存術式はLES機能のみならず食道の蠕動も保たれる可能性が示唆された。S62川 崎 医 学 会 誌

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