医学会誌42-補遺号
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27基-35:マルチパラメトリックMRIを用いた前立腺癌の腫瘍悪性度の非侵襲的評価法の確立研究代表者:玉田 勉(放射線医学(画像診断1))【目的】前立腺癌症例において切除断端(surgical margin (SM))の有無は、術前の術式の選択において重要な因子であり、また前立腺全摘術後の生化学的再発に対する独立した予測因子である。しかしながら術前にそのSMを予測するための臨床および画像所見は不明である。そこで前立腺癌のSMの予測に対する術前の前立腺マルチパラメトリックMRIの臨床的価値を明らかにする。【方法】対象は、前立腺全摘術で前立腺癌と診断された56症例(中央値:69歳)。術前のマルチパラメトリックMRIは3T装置を用いてT2強調像、高b値拡散強調像(0 and 1000 s/mm2)および造影ダイナミックを撮像した。検討項目は、グリーソンスコア、D’Amicoリスク分類を含む臨床所見および腫瘍の局在、腫瘍サイズ、尖部(SM陽性の頻度が高い)および基部(生化学的再発のリスクが高い)への腫瘍の進展、腫瘍部のADC値(みかけの拡散係数)、被膜外浸潤を疑うMRI所見の有無を含むマルチパラメトリックMRI所見とした。【成績】病理組織学的に15症例(27%)がSM陽性(SM陽性群)、41症例(73%)が陰性(SM陰性群)であった。腫瘍部のADC値は、SM陽性群はSM陰性群に比して有意に低かった(P = 0.001)。SM陽性群における尖部や基部への腫瘍の進展および被膜外浸潤を疑うMRI所見の頻度は、SM陰性群のそれらに比して有意に高かった(それぞれP = 0.034、P = 0.011)。多変量解析において、腫瘍部のADCが前立腺癌におけるSMの唯一の予測因子であった(P = 0.003)。【結論】SM陽性群はSM陰性群に比して、マルチパラメトリックMRIにおいて前立腺癌病変は、基部および尖部に高頻度に位置し、より低いADC値および高頻度に被膜外浸潤を疑うMRI所見を示す。27基-71:大腸癌肝肺転移症例におけるTIGAR発現の解析研究代表者:岡 保夫(消化器外科学)【背景・目的】p53遺伝子の下流で発現するTIGAR(TP53-induced glycolysis and apoptosis regulator) は解糖系に直接作用するタンパクで、高発現により解糖系を阻害し糖新生の方向にシグナルを変更させて、ペントースリン酸経路(pentose phosphate pathway(PPP))につながる。近年の研究によりTIGARは大腸発がんを促進する因子の一つであること、PPP増強がヒト大腸発がん細胞の増殖において重要な役割を担っていることが報告され、TIGAR-PPP axisは大腸発がん過程における重要な経路である可能性がでてきている。またTIGARはorgan-specific behaviorを有する可能性があると考えられ、その検証のためにはヒトの大腸がん臨床検体を用いた研究の必要性がある。大腸癌肝転移と大腸癌肺転移にはTIGAR発現に相違のある可能性があり、これらの病態解明を行うことにより、大腸癌転移におけるTIGARの役割を検証する。【対象】2006年1月から2015年3月の間に当院にて手術を施行した症例(肝転移巣切除例22例、肺転移巣切除例6例)【方法】免疫組織学的検索:糖代謝に影響するマーカー(AKT,TIGARおよびp53)肝転移症例、肺転移症例それぞれにおける上記マーカーの発現内容を比較検討する。【結果】検討中である。S55
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