医学会誌42-補遺号
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27基-88: コルチゾール合成・代謝・作用機構についての研究-血中ステロイド分画同時測定による評価-研究代表者:宗 友厚(糖尿病・代謝・内分泌内科学) コルチゾール(F)は、活性型グルココルチコイド(GC)の代表として、糖質のみならず脂質・蛋白質・核酸といった基本物質の代謝や循環調節を司る。その産生はフィードバック調節の代表である視床下部-下垂体-副腎(HPA)系により巧妙に調節されるほか、11βHSDタイプ2によるコーチゾン(E)への不活化や、11βHSDタイプ1及びH6PDによるFへの再生(賦活化)、など受容体前の局所代謝も重要で、GC作用の総体的把握には産生~代謝の各ステップを反映する指標が必要である。本研究は、交叉反応や測定誤差を克服できるLC-MS/MS法を用いて、複数ステロイドの血中濃度を同時に定量し、各合成酵素活性(product/precursor比)やF~E間代謝状態の指標も加え、様々な検討を進めることが目的である。耐糖能正常者に於ける検討では、DHEA<F<S<17OHP5の順に強くACTHと正相関し、酵素活性も11β-hydroxylase<3βHSD<17, 20-lyaseの順に強くACTHと負相関した。さらに、収縮期・拡張期血圧はSや21-hydroxylase活性と正相関、脂質系ではHDL-CとF・PRAは正に相関、TChol・LDL-C・HDL-CはP4と正相関、糖代謝系ではFPGが17, 20-lyase活性や11-oxoreductase活性と負相関、FIRI・HOMA-RがFや11-oxoreductase活性と負相関するなど、GC作用の各ステップが血圧調節や糖脂質代謝と多様に関連することが判明した。また何れも希少な疾患ではあるが、Cushing症候群両側副腎摘除後、Addison病、17水酸化酵素欠損症、Sheehan症候群、ACTH・PRL複合欠損症、成人重症成長ホルモン分泌不全症を伴う下垂体機能低下症、のそれぞれ1例に於いて、合成酵素活性の低下や血中濃度の総括的な把握が可能であり、診断に際しても極めて有用であることが確認された。S49
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