医学会誌42-補遺号
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27挑-7: 2型糖尿病患者におけるn-3およびn-6多価不飽和脂肪酸と動脈硬化性疾患との関連に関する探索研究代表者:亀井 信二(糖尿病・代謝・内分泌内科学)【背景】血漿中n-3系多価不飽和脂肪酸(PUFA)であるイコサペント酸(eicosapentaenoic acid;EPA)とドコサヘキサエン酸(Docosahexaenoic acid; DHA)は心血管イベント抑制作用を示し、n-6系PUFAであるアラキドン酸(arachidonic acid;AA)は動脈硬化惹起作用に関連する。EPA/AA比の低下は冠動脈疾患の高リスク状態であるが、2型糖尿病(T2DM)では動脈硬化指標との関連など不明な点が多い。さらにn-3系PUFAによる薬物介入での動脈硬化抑制作用についても報告は少ない。【目的】T2DM患者の、各種動脈硬化指標とEPA/AA比との関連、EPA、DHA含有製剤での介入結果を検討。【対象】当科外来T2DM 243例(M128)で年度毎のEPA/AA比の推移と糖尿病管理指標との関連を検討。さらにEPA、DHA含有製剤での介入結果を解析。【結果・考察】EPA/AA比は0.4前後で推移しており、食事療法や栄養指導介入のみでは年間での有意な変化はなかった。EPA/AA比0.3未満症例31例(M/F=17/14、平均年齢62.6±2.4 歳)にてEPA、DHA含有製剤での介入を行った。介入前後でEPA/AA比は前0.23±0.02から後0.60±0.06 (p<0.05)と有意なEPA/AA比の増加が確認された。27基-104:糖尿病性腎症の病態形成におけるXanthine oxidase活性化の関与の解明研究代表者:桑原 篤憲(腎臓・高血圧内科学)【背景・目的】糖尿病性腎症(DN)の発症・進展に内皮障害及び酸化ストレス・鏡像的NO減少(ROS/NO不均衡)が関与することを解明してきた(JASN2013)。DN腎組織ではXanthine oxidase(XO)活性が亢進しており、XOがROS産生を介して病態形成へ関与することが想定されている。DNの病態形成におけるXO活性化の関与を検討した。【方法】10週齢雄性AkitaマウスにTopiroxostat (3mg/kg/day; Akita+Top群)、Febuxostat (1mg/kg/day; Akita+Feb群)、Vehicle (Akita+Veh群) を4週間経口投与し、野生型 (WT群) を含む4群でアルブミン尿、糸球体組織変化等を検討した。また、2光子レーザー顕微鏡と蛍光標識アルブミンを用いたin vivo imaging法を活用して糸球体透過性変化を解析した。【結果】血清尿酸値は全群間で有意差は認めなかった。WT群と比べAkita群では血清XO活性・腎組織XOR活性の上昇を認め、薬剤群で抑制が認められた。またAkita群ではWT群に比し、アルブミン尿増加、メサンギウム拡大、糸球体Collagen IV沈着増加、糸球体酸化ストレス亢進 (ニトロチロシン染色)、糸球体内皮障害 (レクチン染色) を認め、いずれも薬剤群で改善された。In vivo imagingではAkita群で糸球体透過性の亢進を認め、薬剤群で改善を認めた。【結論】XO活性化がDN病態形成に関与しており、XO阻害薬は尿酸非依存性に糸球体内皮機能を保持し糸球体透過性を改善させ、腎保護効果を発揮した。S48川 崎 医 学 会 誌

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