医学会誌42-補遺号
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27基-87: 消化酵素分泌刺激前後および食前後の胆汁、膵液の流れの変化およびリンパ液の流れの変化に関する検討:Time SLIP併用非造影MRIによる評価 研究代表者:山本 亮(放射線医学(画像診断1))【目的】近年、選択的IRパルスを併用したcine dynamic MRCPによって、膵管内の膵液の流れを直接可視化することが可能となっている。今回我々は、選択的IRパルスを併用したcine dynamic MRCPを用いて、食後膵液の経時的変化を非侵襲的に可視化する事で生理的な膵液の流れ(分泌)を評価検討する事を目的とした。【対象と方法】健常ボランティア38名を対象とする。2D-MRCP冠状断を元画像とし、膵頭部の主膵管に対して垂直に幅20mmのIRパルス(inversion time= 2200ms)を印加、関心領域内の膵液信号を抑制する。cine dynamic MRCPにより関心領域に流入してくる膵液を高信号に描出する。この撮像方法を15秒ごとに繰り返し5分間(計20回)撮影し、これを1セットとする。食前、食後7分毎に食後40分まで繰り返し合計7セット撮像する。描出距離はgrade0から4の5段階に分類し評価する(grade0 = no flow,grade1≦5 mm,grade2= 6-10 mm,grade3=11-15 mm,grade4>15 mm)。テルミール2.0α(200ml)を経口摂取する。【結果】食前の平均流入gradeは1.6、摂取5分と12分後は2.1、19分後は2.2、26分後は1.9、33分後は1.4、40分後は1.2であった。平均流入gradeは摂取5分後に食前より有意に増加を示した(P<0.01)。平均流入gradeのピークは摂取19分後の2.2で、その後の平均流入gradeは、26分後、33分後、40分後と有意な減少を示した(P<0.031,P<0.047,P<0.02)。【結論】非侵襲的な選択的IRパルスを併用したcine dynamic MRCPを用いることで、食後の生理的な膵液の流れを経時的に評価することができる可能性が示唆された。27基-50:ミトコンドリアは如何にして鉄を取り込んでいるのか?研究代表者:岸 文雄(分子生物学) 鉄は、ミトコンドリア呼吸鎖をはじめとした多くの酸化還元反応の触媒に必要不可欠な金属である。一方で、特に、Fe2+はヒドロキシラジカルの産生を引き起こすことから、細胞内Fe2+の挙動を厳密に調節する機構が必要である。細胞質内への鉄取込み機構には複数の方法が知られているが、細胞質からの鉄の排出方法は、二価鉄輸送体FPN1を介してのみ行われる。鉄の取込み・排出については、細胞・個体レベルで関連分子やその制御機構の解析がなされてきた。しかし、いったん細胞内に取込まれたFe2+が、ミトコンドリアやフェリチンへと連なる細胞内経路において如何なる機構で細胞質ゾル内を安全に輸送されているかは全く不明であった。2014年、我々はFe2+の輸入を担う膜輸送体DMT1に結合する分子としてフpoly(rC)- binding protein 2 (PCBP2)を見出した。そこで細胞質ゾル内の鉄を各分子へ如何にして供給するかを明らかにするために、鉄排出輸送体FPN1に注目し、細胞内鉄の動向および排出機構の解明を試みた。その結果、FPN1へPCBP2が細胞質ゾル内の鉄を供給し、排出させていることが明らかとなった。このことは、鉄シャペロン分子であるPCBP2が、細胞質ゾル内鉄を様々な分子に供給していることを示唆しており、この仮説を元にミトコンドリアへの鉄供給機構の解明を試みている。S43

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