医学会誌42-補遺号
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27基-22:胃酸分泌抑制薬が胃粘膜に及ぼす影響に関する病理組織学的検討研究代表者:鎌田 智有(健康管理学)【背景と目的】H2受容体拮抗薬(H2B)やプロトンポンプ阻害薬(PPI)などの酸分泌抑制薬は逆流性食道炎の治療として広く使用されている。一方、酸分泌抑制は高ガストリン血症を起こし、壁細胞の腫大・鋸歯状変化や空胞化などの組織学的変化を来すことが指摘されている。長期のH2BとPPIの内服が胃底腺粘膜に及ぼす影響について検討する。【対象】過去3年間に消化管内視鏡検査を受け、胃炎の診断目的で胃体部生検が施行され、本研究への同意が得られた325例を対象とした。【方法】薬剤の内服歴とHE標本による胃粘膜の評価を後向きに観察した。評価項目は固有胃腺の変化、特に壁細胞の腫大・過形成および空胞化変性とし、免疫組織学的検査によりH+-K+-ATPaseの評価も併せて検討した。【結果】問診およびカルテ検索により、薬剤の内服歴を調査した結果、長期H2B群62例(男性22例、平均年齢56歳)、同PPI群51例 (男性34例、平均年齢60歳)、非服用群212例 (男性134例、平均年齢52.4歳)であった。H2B群およびPPI群における壁細胞の腫大・鋸歯状変化は各々6.5%、72.5%であり、PPI群で有意に胃底腺の組織学的変性が認められた。空胞化変性の結果も同様であったが、H+-K+-ATPaseでは明らかな差を認めなかった。【結論】H2Bに比べ、PPI長期投与の際には胃底腺粘膜の組織学的変化に注意を要すると考えられた。27挑-9:静脈内投与された薬物の胃内移行に関する研究研究代表者:吉留 敬(衛生学) 覚せい剤を含む乱用薬物の使用者の中には、薬物を第三者によって栄養ドリンク等と言われて飲まされたと申し立てる者もいるため、法医解剖事例においては、その真実の投与経路が問題となる場合が少なくない。ところが、訴え通り経口で摂取させられたのか、あるいは生前の死者が自ら注射により摂取したのかを、死体から明らかとすることは容易ではない。そこで、薬物を注射により投与した際に、各種の薬物が血中からどの程度胃内に移行するのかを明らかとすることを目的として、動物実験を行った。今回、実際に問題となりうる薬物として、塩基性のメタンフェタミン、酸性のペントバルビタールについて検討を行った。また、化学的性質に着目し、極性の影響を調べるために水溶性の低いカルバマゼピンについても検討を行った。 ラットに各種薬物を皮下注射によって投与し、3時間後に屠殺した後、心臓血、胃内容物、心臓、肺、肝臓を採取した。これらの試料から液-液抽出により薬物を抽出し、ガスクロマトグラフ質量分析計で分析を行うことで、試料中の薬物濃度の比を求めた。 その結果、薬物の胃内容/血中濃度比はメタンフェタミンは5.42-33.49であり、ペントバルビタール(0.32-0.120)やカルバマゼピン(0.32-0.72)と比較して著しく高値を示していた。胃内は酸性であることから、塩基性のメタンフェタミンは容易に胃内に移行したものと考えられた。S42川 崎 医 学 会 誌
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