医学会誌42-補遺号
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27基-84:Verify Now®を用いた血小板機能からみた術前抗血小板剤中止のタイミング研究代表者:種本 和雄(心臓血管外科学) 現在、各種抗血小板剤投与を受けている患者が増加しているが、エビデンスに基づいた術前休薬期間は示されていない。従来の比濁法による検査は操作が煩雑で検査時間も長く、臨床応用には至っていないのが現状である。しかし近年、迅速で簡便かつ正確な血小板機能測定装置Verify Now®システムが登場し、内服中のモニタリングが可能となった。本研究は同システムを用いて術前薬剤中止後の血小板機能回復経過から至適術前中止時期を明らかにすることおよび術直前の血小板機能と術後出血量の関係を検討することを目的に行うものである。 平成27年度は、クロピドグレルを内服中の予定手術患者4名を新たに加え、Verify Now®を用いて最終内服日から手術当日までのPRU値および抑制率を経時的に測定し、血小板機能回復経過から至適中止時期を検討した。結果、昨年度同様に休薬後3日でPRU値がcut off値を上回り、血小板凝集能が回復していることが示された。またVerify Now®を用いた術前の血小板機能と術後出血量との関連を調べる研究において、大動脈弁置換術54例、僧帽弁形成術37例、心拍動下冠動脈バイパス術34例の検討を行った。結果として各術式においてARU値で軽度の逆相関を認めたが、AVR以外は明らかな有意差は認められなかった。 以上の結果から、本邦における抗血小板薬の術前休薬期間は短縮可能であり、Verify Now®システムによる術前血小板機能評価により術後出血を予測できる可能性が示唆された。27基-101:新規膀胱虚血マーカーの探求と臨床応用 研究代表者:原 綾英(泌尿器科学)【背景・目的】加齢により下部尿路症状(LUTS)を呈する割合は増加する。超高齢化社会となりつつある今日において、重症度および治療効果を正確に評価するバイオマーカーの確立が急務である。我々は尿中バイオマーカーとして8-hydroxy-2’-deoxyguanosine(8-OHdG)に注目し、Male LUTSの代表疾患である前立腺肥大症(BPH)に対して、Holmium laser enucleation of prostate(HoLEP)を行った症例の治療前後の変化を検討した。【対象・方法】BPHに対してHoLEPを行った8例を対象とし(年齢中央値73歳)、治療前、治療後1ヶ月における自覚所見(International prostate symptom score:IPSS、QOL index、Overactive bladder symptom score:OABSS)および他覚所見(maximum urinary flow rate :Qmax、 post-void residual urine volume:PVR)と尿中8-OHdGの変化について検討した。【結果】治療前IPSSは20点(16~33)、QOL indexは5点(5~6)、OABSSは6点(3~14)、Qmaxは9.8ml/sec、PVRは43ml(32~139)であり、尿中8OHdGは35.5ng/ml(18~48)であった。HoLEP核出重量は31g(10~114)、手術時間は108分(47~259)であり、病理組織学的検討では7例(87.5%)に炎症細胞の浸潤を認めた。治療後1ヶ月においてIPSSは7点(2~24)、尿中8OHdGは17.3ng/ml(10~24)と有意な改善を認めた(p<0.05)。QOL indexは3点(0~5)、OABSS3点(1~14)、PVRは31ml(0~84)と改善傾向であった。8-OHdGとOABSSには極めて強い相関があり(r=0.924)、PVRには強い相関があり(r=0.772)、IPSSには相関があった(r=0.445)。【結論】Male LUTS治療による自覚所見(IPSS、OABSS)および他覚所見(PVR)と尿中8-OHdGの変化には相関があり、尿中バイオマーカーとなり得る可能性がある。S37

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