医学会誌42-補遺号
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27基-3: 甲状腺機能亢進症における心機能亢進と低下:弾性率によるマクロ心機能及び単離心筋カルシウム動態評価研究代表者:毛利 聡(生理学1) 甲状腺機能亢進症ではCa2+動態が変化し短期的に心機能が亢進し長期的には心肥大・心不全へ移行する。また、血管抵抗、循環血液量も変化するため左室機能評価のためにはこれらから独立した指標が必要となる。我々は左室収縮性の指標として最大弾性率を用い、心筋細胞内Ca2+動態およびCa2+輸送タンパクの発現評価を行った。8週齢のC57BL/6Jマウスにトリヨードサイロニン2,000mg/kg/dayを腹腔内投与し、1週間T3-short、8週間T3-longと、対照群(無処置)と3群間で比較した。T3-shortで左室収縮性;Ees、循環血漿量を反映する左室拡張末期容積;EDVには対照群と比較して有意差を認めず、血管抵抗を表す実効動脈エラスタンス;Eaは低下していた。T3-longではEes、Eaが有意に低下し、EDVは増加していた。T3-longにおけるNa+/Ca2+交換体(NCX)の有意な発現減少、T3-shortおよびT3-longにおけるSEARCA2の有意な発現増加を確認した。単離心筋細胞の収縮率、Ca2+指示薬によるCa2+動態評価ではT3-longにおける単離心筋細胞の収縮低下を認めたが、最大Ca2+濃度にはいずれの群間にも差を認めなかった。T3-longではNCXによるイオン交換活性も有意に低下しNCX発現の減少とT管への局在低下を認めた。27基-77: 多価不飽和脂肪酸プロファイルが慢性期ステント内再狭窄に及ぼす影響:OCTを用いた検討研究代表者:山田 亮太郎(循環器内科学)【背景】薬剤溶出性ステント(DES)の導入によりDES留置12ヶ月以内のステント内再狭窄は劇的に減少したが、その後の遅発性新生内膜増殖や晩期再狭窄(late catch-up)は未だ大きな問題となっている。エイコサペンタエン酸(EPA)は抗動脈硬化作用を有する薬剤として知られており、DES留置後の新生内膜増殖を予防する効果が期待できる。血漿EPA濃度と遅発性新生内膜増殖の関係を光干渉断層法(FD-OCT)による3次元容量解析を用いて検討した。【方法】第2世代DESを用いて治療した26病変(26症例)を対象とした。PCI9ヶ月後(9M FU)と18ヶ月後(18M FU)に新生内膜をFD-OCTで観察した。新生内膜面積(neointimal area) を1mm間隔で解析し、Simpson法により新生内膜量(neointimal volume)を求め、neointimal volume index(VI)とした。遅発性新生内膜増殖変化量(delta neointimal VI)はneointimal VI(18M FU)-nointimal VI(9M FU)と定義した。血漿中のEPAとアラキドン酸(AA)をステント留置時と9ヶ月後に計測した。【結果】ステント留置時の血漿EPA濃度は、18ヶ月後のneointimal VIと関連がなかった。9ヶ月後の血漿EPA濃度はdelta neointimal VIと負の相関を認めた(R=-0.463、p=0.017)。多変量解析では9ヶ月後の血漿EPA濃度はdelta neointimal VIの独立した予測因子であった(p=0.027)。【結論】第2世代DES留置後慢性期の血漿EPA濃度は遅発性新生内膜増殖に影響を与えている可能性が示唆された。S34川 崎 医 学 会 誌
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