医学会誌42-補遺号
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27基-90: マイナス帯電粒子優位室内環境の生体影響の長期居住モニターによる観察研究代表者:大槻 剛巳(衛生学) マイナス帯電粒子優位室内環境(NCPDIAC)の生体影響の長期基居住モニターによる観察により,健康増進樹居環境の構築を試みた。NCPDIACは住居の寝室あるいは居間の天井および壁面に多孔性木炭塗料を塗布,さらに壁裏面に電圧(72V)を加えることにより作られる。これによって約20nm前後の帯電粒子のうち,プラス帯電は壁面に継続的に吸着され,マイナス帯電粒子は変化がないため相対的なNCPDIACを構築した(約500粒子/m3優位)。2.5時間滞在によるInterleukin-2の軽度の上昇,2週間夜間滞在によるNatural Killer(NK)細胞活性の増強,また培養実験にて,約3,000粒子/m3優位な環境でもNK活性の増強,CD4+T細胞でのCD25発現増強を確認した後に,7名の健康成人被験者により,新築あるいは改築後の寝室あるいは居間に本装置を設置し,3ヶ月単位で被験者がONとOFFを繰り返し,その変換期に採血採尿を行い,生体反応を検討した。総計16回のOFF→ON,13回のON→OFFの検討が行われ,相対的なNK細胞活性は,OFF→ONで有意に増強,ON→OFFで有意に減弱した。さらに、Luminex法による29種類のサイトカインの測定では上皮成長因子(EGF)の軽度ならが有意な増強がOFF→ONで観察された。EGFの上昇が示唆する意義付けの詳細は不明ながら,NCPDIACによってNK活性が有意に増強されたことは,がん免疫やウイルス感染などへの抵抗力の増強にもつながると考えられ,意味のある健康増進住居環境の構築を成し得たと考えている。27大-1:ダニ抗原誘発慢性喘息マウスモデルを用いた気管支喘息の新規根治療法の開発研究代表者:岡 三喜男、池田 征樹(生理系分野 呼吸器病態生理学)【背景】気管支喘息(喘息)の治療はステロイド吸入を主体とした対症療法であり、治癒には至っていない。頻度の高いダニ抗原誘発喘息に対してダニアレルゲン特異的免疫療法が試みられ、舌下免疫療法(SLIT)が注目されているが、その有効性は限定的である。【目的】ダニ抗原誘発マウス慢性喘息モデルを作成し、ダニアレルゲンエキスにアジュバントとしてGalectin-9(Gal-9)を加えた新規SLITを試み、その有効性を検討する。【方法】マウスにダニ抗原経鼻感作を繰り返し(週5日、5週間)、慢性喘息モデルを作成する。本疾患モデルにダニアレルゲンエキスとGal-9の混合液を舌下投与(週5日、2週間)する。治療効果の評価は(1)即時型反応、(2)気道過敏性試験、(3)気管支肺胞洗浄(BAL)液中の炎症細胞数およびTh2サイトカインの解析および(4)血清中のIgE抗体価測定を行う。【結果】モデルでは(1)上昇(2)亢進(3)増加(4)上昇を認めた。SLITにより有意な(1)低下(2)改善(3)減少(4)低下を認めた。【結論】従来の特異抗原のみのSLITよりアジュバント効果のあるGal-9を加えたSLITではダニ抗原誘発喘息の病態をさらに改善することが示唆された。さらに、Gal-9の濃度による即時型反応、気道過敏性試験、気管支肺胞洗浄(BAL)液中の炎症細胞数およびTh2サイトカインの変化の相違を評価し検討している。― 環境と生体反応 ―S19
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