医学会誌42-補遺号
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研究課題名:機能性ポリフェノールの生体利用性研究代表者:伊東 秀之(岡山県立大学 保健福祉学部栄養学科) 近年、様々な食品や薬用植物に含まれる多種多様なポリフェノールの化学構造の解明に伴い、ポリフェノールの様々な機能性も明らかになってきている。しかしポリフェノールの中でも抗酸化活性を起因とする抗腫瘍作用、抗炎症作用など多くの機能性を有するエラジタンニンの生体利用性については、ほとんど報告されていなかった。 我々はエラジタンニンの生体内代謝プロファイルを明らかにするために、ゲンノショウコに含まれるgeraniinに着目し、生体内代謝産物の探索を行い、新規代謝産物を含む7種の代謝産物を特定した。エラジタンニンと関連ポリフェノール及びそれらの代謝産物について、ORAC法による抗酸化作用を評価した結果、代謝産物の方が未変化体のgeraniinよりも有意に高い抗酸化活性を示した。また、マウス後踵カラゲニン浮腫試験法による抗炎症作用を評価した結果、geraniin及び主要代謝物のurolithin Aの経口投与において、いずれもurolithin Aの最高血中濃度到達時間に、高い抗酸化作用及び抗炎症作用が認められた。これらの結果から、geraniinは経口投与後、urolithin Aとして抗炎症作用に寄与していることが示された。 以上の結果から、エラジタンニンは生体内において活性代謝産物として機能発現に貢献している例を提示することができた。最近、エラジタンニン代謝産物のがん細胞の増殖抑制や抗アレルギー作用などが報告されている。今後、さらにポリフェノールの機能発現に関する系統的な研究の展開が期待される。S17

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