医学会誌 第41巻 補遺号
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研究課題名:人を引き込む身体的コミュニケーション技術研究代表者:渡辺 富夫(岡山県立大学 情報工学部情報システム工学科) うなずきや身振りなどの身体的引き込みをロボットやCGキャラクタのメディアに導入することで一体感が実感できる身体的コミュニケーション技術と、メディアの場にはたらきかけることで場を盛り上げる身体性メディア場の生成・制御技術を開発展開・統合・実用化して、生活基盤システム・環境としての本格的な感情移入インタフェースを構築する。入力インタフェースの具体的なシステム・技術開発として、発話音声からコミュニケーションの引き込み動作を自動生成する【音声駆動型身体的引き込み技術】、身体動作に連動して直接動作する【身体連動型身体的引き込み技術】、タイピングと入力テキストに基づいてキャラクタのコミュニケーション動作を自動生成する【タイピング駆動型身体的引き込み技術】を開発展開し、さらに現場で有効性を実証し、実用化する。身体的引き込みの情動共有による革新的ヒューマンインタフェースの開発である。 本システム・技術は、教育、看護、エンタテインメントなど、人とかかわる広範囲な応用が容易に可能であると期待されるので、現場を中心に生活情報技術としての有効性、社会的影響を十分に配慮して実証する。具体的には、発話音声に基づく身体的コミュニケーションロボット・玩具、インフラとしてのスマートフォンやインターネット等の通信・情報機器分野、e-learning等の教育分野、また看護コミュニケーション支援への応用展開である。研究課題名: 炎症性脂質メディエーター合成系を標的とした抗アレルギー作用を有する機能性食品の探索研究研究代表者:川上 祐生(岡山県立大学 保健福祉学部栄養学科) 種々の刺激により、細胞の生体膜を構成するリン脂質から遊離されたアラキドン酸に5-リポキシゲナーゼが作用すると、5-ヒドロペルオキシ脂肪酸が生成し、この5-ヒドロペルオキシ脂肪酸に同じ5-リポキシゲナーゼが作用してLTA4が生成する。このLTA4からさらにLTB4、LTC4、LTD4、LTE4が生成され、これらは炎症や免疫などの生体防御反応に関わる強力な炎症性脂質メディエーターとして知られている。5-リポキシゲナーゼを阻害することができれば、これら炎症性脂質メディエーターであるLTの合成を抑制でき、抗アレルギー作用をもたらすことができると期待される。スパイスは、食嗜好性を高めるだけでなく、生体調節機能についても注目され、その潜在的可能性は極めて高い。そこで本研究では、スパイスの5-リポキシゲナーゼ阻害効果を調べ、LTの合成を抑制する成分について検討した。 8種類のスパイスの各種50%エタノール抽出物について、5-リポキシゲナーゼ阻害効果を検討したところ、ナツメグを含む4種類のスパイスに阻害効果が認められた。この中で、ナツメグが5-リポキシゲナーゼを最も強く阻害した。この抽出物から逆相HPLCを用いて阻害成分を精製、単離した。この阻害成分は、5-リポキシゲナーゼおよび血小板型12-リポキシゲナーゼ、白血球型12-リポキシゲナーゼに対して阻害効果を示した。ナツメグに含まれる5-リポキシゲナーゼ阻害成分は、Ⅰ型アレルギーによる炎症を予防する可能性が示唆された。S76川 崎 医 学 会 誌

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