医学会誌 第41巻 補遺号
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26大-2:関節リウマチ由来滑膜線維芽細胞株における2型TNFレセプターの役割研究代表者:五十嵐 英哉、平野 紘康(組織培養免疫系分野免疫病態学)【目的】関節リウマチ由来滑膜線維芽細胞(RA-FLS)の異常特性としてTNF・反応性の多様性がある。RA-FLSにおけるTNF受容体の遺伝子発現を調べた所、1型TNF受容体(TNFR1)のみならず、免疫系細胞に限局するとされてきた2型TNF受容体(TNFR2)も様々なレベルで発現されることを見出した。RA-FLSにおけるTNFR2の機能を明らかにする。【方法】TNFR2のcDNAをヒトRA-FLS細胞株MH7Aに導入し、高発現細胞をセルソーターで濃縮し、過剰発現安定株を樹立した。【結果】TNFR2過剰発現MH7AではTNFα刺激によりアポトーシスが誘導された。TNFR2にはdeath domain(DD)がないことから、低レベルに発現しているTNFR1の信号伝達経路を介する可能性が考えられた。しかし、抗TNFR1中和抗体存在下に抗TNFR2アゴニスティック抗体を添加するとTNFR2の信号伝達に特徴的なTRAF2の減少とアポトーシスが誘導されたことからTNFR1の関与は否定された。このTNFR2単独刺激下で、アポトーシスのエフェクター分子カスパーゼ-8と-3の活性化を認め、カスパーゼ阻害剤でアポトーシスは抑制された。【結論】RA-FLSにおいてTNFR2からカスパーゼ依存性のアポトーシスが誘導されることを明らかにした。TNFR2はDD非依存性にアポトーシス信号を伝達することが示された。26大-4:非造影MRIによる膵外分泌機能の検討研究代表者:伊東 克能、 八十川 和哉(形態系分野放射線画像診断)【目的】非侵襲的に選択的インバージョンリカバリー(IR)パルスを併用したシネダイナミックMRCPによる膵外分泌評価が膵外分泌機能評価法としての可能性があるかを膵外分泌機能検査(BT-PABA)と比較した。【対象と方法】慢性膵炎患者や健常者20名を対象とした。選択的IRパルスを併用したシネダイナミックMRCPは、5分間で20回撮像した(15秒間隔)。選択的IRパルスを併用したシネダイナミックMRCPによる 膵液の流れた距離(mean secretion grade)と描出頻度(frequency of secretory inflow)をBT-PABA試験(尿中PABA排泄率)を比較した。【結果】尿中PABA排泄率は、選択的IRパルスを併用したシネダイナミックMRCPによる mean secretion grade(r=0.66,P=0.002)とfrequency of secretory inflow(r=0.62,P=0.004)共に有意な正の相関を認めた。mean secretion grade(grade=0.16±0.24 versus grade =1.81±0.81,P<0.001)とfrequency of secretory inflow(1.4±1.6 times versus 14.3±4.2 times,P<0.001)いずれも健常者よりも慢性膵炎患者で有意な低値を示した。【結論】選択的IRパルスを併用したシネダイナミックMRCPは、非侵襲的に生理的な膵外分泌機能を評価できる可能性があると考える。S74川 崎 医 学 会 誌
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