医学会誌 第41巻 補遺号
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26基-18:早期乳がんの病理組織像の特徴に関する研究研究代表者:森谷 卓也(病理学2)[目的]乳がんの初期浸潤における形態的特徴と、癌進展や予後との関連について探索する。[材料と方法]最大浸潤径が5mm以下の初期浸潤癌78例について、5種類の免疫染色マーカー(p63,uPAR,PAI-1,MMP-2,MMP-9)に対し免疫組織染色を施し解析した。[結果]腫瘍の浸潤径は0.1~5 (平均2.9) mm、リンパ節転移は76例中11例に認められた。p63は筋上皮マーカーであるため、消失していれば浸潤癌と考えた。膨張性増殖パターンを示すものは別途EPC(被包型乳頭癌)と分類した。uPARは非浸潤癌部で72/73例、浸潤癌部では58/64例で、PAI-1は、非浸潤癌部では69/72例、浸潤癌部では56/61例の癌細胞に発現が見られ、発現スコアはいずれも非浸潤癌で有意に高値であった。MMP-2は54/76例、MMP-9は56/76例の間質に発現を認めた。浸潤癌間質にMMP-2発現を認めた例はPgR陽性率が低く、Ki-67LIが高かった。また、MMP-2, MMP-9ともに浸潤径が大きい例ほど高発現であった。[考察とまとめ] uPARやPAI-1は浸潤前段階での基底膜変性などに関与し、浸潤開始とともにMMPが発現を開始する可能性が示唆された。また、MMPが腫瘍周囲のマトリックスを破壊することで、腫瘍がより増殖するためのスペースを生み出し、増殖能が高まる可能性がある。26基-17:精巣組織におけるvasohibin発現に関する検討研究代表者:鹿股 直樹(病理学2) VASH1およびVASH2は、DNA microarrayでの解析では精巣での発現が高いことが知られていたが、それらの発現の詳細については未だ不明であった。今回、精巣腫瘍で摘出された組織の腫瘍部分と非腫瘍部分について各々、免疫組織学的にVASH1とVASH2の発現を検討した。22例の非腫瘍精巣組織と、19例のセミノーマ、1例の胎児性癌、11例の混合性胚細胞性腫瘍で検討を施行した。 VASH1は非腫瘍精巣組織では16/22 (72.8%)で陽性であった(正常の精巣で10/10、萎縮精巣で6/12)。VASH1は二次精母細胞と精子細胞で発現がみられた。VASH2は20/21 (95.2%)の非腫瘍精巣組織で発現がみられた(正常の精巣で10/10、萎縮精巣で11/12)。VASH2は精細管内で瀰漫性に発現していた。 一方、腫瘍組織では、VASH1はセミノーマの1例のみで巣状の発現がみられたのみであったが、VASH2は20/31(64.5%、セミノーマ11/19、非セミノーマ 9/20)で陽性であった。しかし、VASH2発現は一般的に弱くまた、巣状のことが多かった。なお精巣内の微小血管では、種々の程度でVASH1、VASH2の発現が認められた。 VASH1とVASH2は、精巣の分化や造精能に関与している可能性があるものと考える。S57
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