医学会誌 第41巻 補遺号
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26基-33:既存分子標的薬剤の効果が期待される小細胞肺癌のゲノム異常に関する研究研究代表者:山根 弘路(総合内科学4) 非小細胞肺がんにおける分子標的療法の飛躍的な発展と比し、小細胞肺がん(SCLC)では新たな標的分子の同定は困難で、新規創薬は遅々として進んでいない。しかしながら、近年一部のSCLC症例で活性型上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異が存在することが報告され、SCLCにおいても既存分子標的薬剤の効果が期待される集団は少数ながら存在することが明らかとなった。 今回我々はc-kit蛋白に注目し、小細胞肺がんにおけるc-kitの活性型変異についての研究を企画した。確かに既報ではc-kit蛋白発現を基に計画され、SCLC患者を対象とした過去の臨床試験はいずれも十分な抗腫瘍効果を認めていない。ただし、これらはいずれも少数例の検討で、またSCLCにおいてはc-kit蛋白の発現と遺伝子レベルでのc-kitの活性型変異の発現レベルが相関しておらず(64% vs 0%)、少数例と予測されるが活性型EGFR遺伝子変異と同じく、c-kit活性型変異が存在するSCLC症例に対してはimatinibが奏効する可能性があると考えられる。現在までの検討では我々が樹立したSCLC細胞株においてc-kit蛋白陽性株を確認している。これら陽性株におけるc-kitの活性型変異の有無につき、現在遺伝子シークエンスを追加して検討中である。26基-64: 非小細胞肺癌における尿中プロスタグランディンE2と腫瘍内Cox-2および抑制性T細胞発現に関する研究研究代表者:清水 克彦(呼吸器外科学) 2014年9月から2015年4月の間に手術を行った非小細胞肺癌症例のうち24例から研究の同意を得た。現在まで摘出標本のパラフィン切片を用いて、Cox-2,抑制性T細胞に対する抗体を用いて腫瘍部の免疫組織染色を20例に施行した。現在尿中プロスタグランディンE2値を測定する準備を行っている。その後尿中プロスタグランディンE2値と腫瘍内Cox-2,抑制性T細胞の発現の関連性を検討する予定である。S47

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