医学会誌 第41巻 補遺号
48/90

26基-15:慢性肝疾患における耐糖能異常と肝疾患マーカーの関連調査研究代表者:仁科 惣治(肝胆膵内科学)【目的】非アルコール性脂肪性肝障害(NAFLD)に伴う高血糖やインスリン抵抗性は肝硬変・肝発癌に影響するため、これらの糖代謝異常を早期診断し治療介入することが重要である。本研究ではNAFLDにおける肝線維化と種々の糖代謝因子との関係について、多施設共同研究での検討を行った。【方法】2003年1月~2013年12月に受診した、FBSとHbA1cではDMと確定診断されないbiopsy-proven NAFLD 321例に75gOGTTを行い、線維化非進展群 (F0-2) 236例と線維化進展群(F3-4) 85例の血液生化学所見、糖代謝因子を比較検討した。【結果】OGTTの結果、全症例中43%が耐糖能異常(IGT/IFG)、17%がDM型であった。IGT/IFGおよびDM型であった症例は、線維化進展と共に増加傾向を示した。2項ロジステック解析において、肝線維化進展寄与因子は血糖AUC 0-2h≧320 mg/dL・hr (OR:1.88,p=0.043)およびAST≧43 IU/L(OR: 3.30,p<0.001)であった。【結論】NAFLD症例では糖代謝異常の合併が高率である。また、NAFLDにおいて75gOGTTにおける血糖AUC 0-2hは肝線維化進展の危険因子であった。従ってFBSやHbA1c測定だけでなく積極的なOGTTによる評価により、肝線維化の進展したNAFLDを診断することが可能となる。26基-24: Non-alcholoc fatty liver disesaseにおける糖鎖マーカーMac-2 Binding protein(M2BP)の検討研究代表者:川中 美和(総合内科学2)【目的】近年、新規糖鎖マーカーWFA+M2BP(M2BPGi)は肝線維化マーカーとしての有用性が期待されている。今回、NAFLD症例におけるM2BPGiを測定し、線維化進展や肝発癌の指標、また治療効果予測に関するバイオマーカーの有用性を検討した。【対象および方法】当院で肝生検を施行したNAFLD294例に対してM2BPGiの測定を行い、NAFLDの線維化診断の有用性を検討した。【結果】M2BPGiは線維化の進展とともに上昇し(P<0.0001)、特にF3,4はF0-2に比べ有意高く(0.8vs.1.85;P<0.0001,Cutoff1.01,AUC0.70)、F4はF0-3に比べさらに高く(0.9vs.3.6;P<0.0001,cut off 1.28 AUC0.78)であった。M2BPGiは線維化マーカーtype4collagen 7S、P-3-P、Hyaroric acidと相関を認めた。また、HCCが出現した13例は非発癌例281例にくらべ、有意に高かった(4.7vs1.1 P<0.0001) 繰り返し肝生検を施行した線維化が進行した症例はM2BPGiも増加し、改善した症例は有意に低下した。【結語】NAFLDにおけるM2BPGiの測定はNASHの線維化の程度や線維化進展例の予測に役立つ。さらには肝発癌の予測に役立つ可能性が示唆された。S44川 崎 医 学 会 誌

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です