医学会誌 第41巻 補遺号
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26基-87: 腎皮質厚と推算糸球体濾過量(eGFR)との相関:空間選択的IR pulseを併用した非造影MRIによる評価(2)研究代表者:渡部 茂(放射線医学(画像診断))【目的】今回我々は空間選択的IR pulseを併用した非造影MRIとT1強調画像(in phase)との腎皮髄境界明瞭化に関する比較検討を行った。【対象】空間選択的IR pulseを併用した非造影MRIが施行され、慢性肝疾患を持たない患者65症例を対象とした。【方法】空間選択的IR pulseとSSFP法を併用した非造影MRIでinversion times (TIs)を700-1500msec の間で100msecずつ変化させ撮像を行い、各TIでの腎皮質・髄質の信号比(SI cortex/SI medulla)を算出。その最大値を最適TIとした。症例をeGFRに基づいて3群に分類(eGFR:≦59,=60-89,≧90)し、群間における最適TIとT1強調画像(in phase)の腎皮質・髄質の信号比を比較し、4point scaleでの視覚的評価も行った。また、空間選択的IR pulseを併用した非造影MRIにおける最適TIにて腎皮質厚を測定し、それぞれのeGFRとの相関を3群間比較も含め、検討を行った。【結果】3群間での腎皮質・髄質の信号比はT1強調画像(in phase)に比し空間選択的IR pulseを併用した非造影MRIにおいて有意に高値であった(p<0.001,p <0.001,p=0.001)。視覚評価においても空間選択的IR pulseを併用した非造影MRIにおいて良好であった(p< 0.001,p < 0.001,p= 0.001,)。また、腎皮質厚の平均は4.7 mm (1.9-7.8)であり、eGFRとの間に有意な相関を認めた(p< 0.01)。【考察】空間選択的IR pulseを併用した非造影MRIは、腎機能低下症例においても非侵襲的に腎機能を評価することができる可能性がある。26基-72:尿細管糸球体フィードバックにおける細胞内Ca変化の視化による定量的解析研究代表者:仲本 博(医用工学) 腎血流量は、オートレギュレーションにより一定の領域に維持されている。その機序の一つが、尿細管糸球体フィードバックである。本研究の目的は、尿細管糸球体フィードバックにおける細胞内Caの関与を可視化することである。 我々は、自発呼吸下の吸入麻酔Wistarラット(n=7)に、CaプローブであるFluo-4と血漿を描出するためのTexas Redで標識したアルブミンと細胞核を描出するためのHoechst33342を前投与し、腎を剖出し、共焦点顕微鏡(Nikon A1R MP)で腎糸球体微小循環を可視化した。外部から腎組織へ、尿細管糸球体フィードバックの強力な活性化作用を示す高濃度である25%食塩水を持続投与(0.1 ml/kg/min)した場合と、コントロールとして生理的食塩水(0.9%)を持続投与した場合の、傍糸球体装置付近のFluo-4の輝度を経時的に測定し、比較検討した。 高濃度食塩水により傍糸球体装置付近のCa濃度は上昇したが、生理的食塩水ではそのような変化は見られなかった(p<0.05)。また、このフィードバックは、尿細管糸球体フィードバックの阻害剤であるフロセミドの投与に依りブロックされた。われわれは、尿細管糸球体フィードバックに関わるCaの関与を可視化することが出来た。S37

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